看護師から保健師へ移ることは、職場を替える手続きではありません。保健師国家試験と看護師国家試験の両方に合格し、保健師籍に登録して初めて免許が与えられます(保健師助産師看護師法12条1項)。入口が試験である点が、職場だけを替える行き先とは違うところです。
扱うのは、資格の中身・試験の受け方・働く場の根拠の3つです。金額の上下は本記事の外にあります。
保健師は、名称を用いて保健指導を業とする資格です
2026年9月22日に「看護師 転職 保健師」の上位10件を当たりました。記事として読ませるページは5件、求人の一覧か検索の画面が4件、質問サイトが1件でした。5件の見出しは資格の違いと取得ルートに寄っており、法令名や条番号は1件も入っていませんでした。
確かめたのは見出しに現れた語と画面の種類だけで、各ページの中身は読んでいません。したがって「上位が書いていない」とまでは言えません。
この記事を書いた編集部は、保健師でも看護師でもありません。資格の当事者ではないため、現場の手ごたえは書かず、公表されている条文と資料だけを並べています。
条文は、保健師をこう定めています。
この法律において「保健師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者をいう。
(保健師助産師看護師法2条。2026年9月22日に、同じ条へ問い方を変えて2回照会し、返ってきた文面が一致することを確かめた)
読むところは「保健師の名称を用いて」です。名称が定義の中に組み込まれている資格で、その裏側にあたるのが次の条文になります。
保健師でない者は、保健師又はこれに類似する名称を用いて、第二条に規定する業をしてはならない。
(同法29条。同じ日に同じ手順で確かめた。ただし書きはない)
禁じられているのは、保健師またはこれに類似する名称を用いて2条の業をすることです。保健師を名乗らずに行う健康相談まで、この条文が禁じているとは読めません。名称を名乗れるかどうかが、この資格の効き目の中心にあります。

看護師から保健師へは、受験資格を満たすところから始まります
先に決まるのは職場ではなく、試験を受けられるかどうかです。
保健師国家試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、これを受けることができない。
(同法19条の柱書。同じ日に同じ手順で確かめた。号の中身は下の表にまとめた)
| 号 | 受験できる者 |
|---|---|
| 1号 | 文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の指定した学校において一年以上保健師になるのに必要な学科を修めた者 |
| 2号 | 同じ基準に適合するものとして、都道府県知事の指定した保健師養成所を卒業した者 |
| 3号 | 外国の2条に規定する業務に関する学校または養成所を卒業した者、もしくは外国で保健師免許に相当する免許を受けた者で、厚生労働大臣が1号・2号と同等以上の知識及び技能を有すると認めたもの |
1号に「一年以上」という期間が書かれています。働きながら移れるかどうかを決めるのは、求人の有無ではなくこの部分です。どの学校・養成所が指定を受けているかは、文部科学省と各都道府県の公表資料で確かめられます。
試験に受かった先も、条文が順序を決めています。
保健師免許は、保健師国家試験及び看護師国家試験に合格した者の申請により、保健師籍に登録することによつて行う。
(同法12条1項。同条は全5項で、2項以降は助産師・看護師・准看護師と免許証の交付を定めている)
合格だけでは免許になりません。申請して保健師籍に登録された時点で免許が与えられる、という順序です。看護師国家試験の合格が要件に入っている点は、この記事の親記事が別の条文で扱っています。
直近の試験の規模も厚生労働省が公表しています。第112回保健師国家試験は出願者7,527人・受験者7,467人・合格者6,502人で、合格率は87.1%でした(2026年9月24日に編集部が原典で確認した内容として記録されているもの)。
企業で働く保健師は、産業医とは別の条文に名前が出てきます
企業に入る保健師は、産業医の枠に入っているわけではありません。産業医を選任する義務がかかる事業場の「外側」について、条文はこう定めています。
事業者は、前条第一項の事業場以外の事業場については、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師その他厚生労働省令で定める者に労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせるように努めなければならない。
(労働安全衛生法13条の2第1項。2026年9月22日に、同じ条へ問い方を変えて2回照会して確かめた)
ここでいう「厚生労働省令で定める者」が誰かは、省令の側に書いてあります。
法第十三条の二第一項の厚生労働省令で定める者は、労働者の健康管理等を行うのに必要な知識を有する保健師とする。
(労働安全衛生規則15条の2第1項。見出しは「産業医を選任すべき事業場以外の事業場の労働者の健康管理等」。同じ日に同じ手順で確かめた)
この項が名指ししている職種は保健師だけです。ただし法律の側の語尾は「努めなければならない」で、選任の義務とは書かれていません。企業に保健師の枠があるかどうかは、この条文ではなく各社の判断で決まる側にあります。
この記事が扱うのは、企業に入っても保健師として働く場合です。
行政の保健師は、保健所の職員として条文に列記されています
行政で働く側は、政令に職種名が並んでいます。
保健所には、医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、保健師、助産師、看護師、診療放射線技師、臨床検査技師、管理栄養士、栄養士、歯科衛生士、統計技術者その他保健所の業務を行うために必要な者のうち、当該保健所を設置する法第五条第一項に規定する地方公共団体の長が必要と認める職員を置くものとする。
(地域保健法施行令5条1項。見出しは「職員」。2026年9月22日に、同じ条へ問い方を変えて2回照会して確かめた)
名前は列記されていますが、末尾は「長が必要と認める職員を置くものとする」です。保健師を必ず置けという定めにはなっていません。置くかどうかの判断は、保健所を設置する地方公共団体の側にあります。
千葉県が案内している保健所は16か所です。うち13か所は県の保健所(健康福祉センター)で、残る3か所は千葉市・船橋市・柏市が設置しています。同じページには、この3か所が政令市の保健所・中核市の保健所である旨の注記が付いています(千葉県「保健所(健康福祉センター)一覧・各種相談」更新日2026年2月27日。2026年9月22日に編集部が確認)。
採用の方法までは、この記事の担当の外です。行政の保健師は地方公務員としての採用になるため、日程・受験資格・年齢の扱いは志望する県や市の公表資料のほうに載っています。
就業している場所の内訳と、この記事が確かめられなかったこと
働いている保健師が実際にどこにいるかは、国の調査に出ています。
| 就業場所 | 実人員 | 構成割合 |
|---|---|---|
| 市区町村 | 33,217人 | 52.3% |
| 保健所 | 9,623人 | 15.1% |
| 事業所 | 5,045人 | 7.9% |
| 病院 | 3,987人 | 6.3% |
| 診療所 | 2,990人 | 4.7% |
| 都道府県 | 1,985人 | 3.1% |
| 上記以外 | 6,689人 | 10.5% |
(令和6年末現在・総数63,536人。厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」の値として、2026年7月29日に編集部が確認した内容が記録されているもの。「上記以外」の人数と割合は編集部の算出)
市区町村・保健所・都道府県の割合を足すと70.5%です(編集部の算出)。行政が過半を占める一方で、事業所は7.9%、病院は6.3%です。前の2つの節で根拠が分かれていた働く場は、この表では事業所と保健所の行にあたります。
学校で働く保健師については、**編集部が確認した資料の中に、人数を示す欄は見当たりませんでした。**この調査の就業場所の区分に「学校」という独立した項目がないためで、いないという意味ではありません。
千葉県内で病院の側の候補を数えるなら、保健所ではなく病院の側を数えた県内の一覧に二次医療圏ごとの分布があります。金額の見方は県の資料では金額がどの単位で出ているかが別に扱っています。本記事では、保健師と看護師のどちらの給与が高いかという比較はしていません。
働き方を派遣にできるかどうかは、資格ごとに扱いが違います。看護の仕事について場所ごとの線を引いたのは看護の仕事を派遣で受けられる場所の線引きで、本記事は可否を判定していません。
募集が保健師のものか看護師のものかは、応募資格の欄で確かめてください。試験を受けるかどうかの判断は、求人の紹介文ではなく上の条文の側で付きます。
よくある質問
看護師の免許だけで保健師として働けますか?
働けません。保健師免許は、保健師国家試験と看護師国家試験の両方に合格した者の申請により、保健師籍に登録することによって与えられるためです(保健師助産師看護師法12条1項)。看護師免許を持っているだけでは、この登録の前提が満たされません。
保健師を名乗らなければ、健康相談の仕事はできますか?
本記事が引いた条文が禁じているのは、保健師またはこれに類似する名称を用いて2条の業をすることです(同法29条)。名乗らずに行う健康相談までを禁じる定めは、この条文には出てきません。ただし個別の仕事に就けるかどうかは募集の要件や他の法令にもよるため、職場と公的な窓口で確かめてください。
企業の保健師と、一般企業で看護職以外の仕事に就くのは同じことですか?
別のものです。企業の保健師は、労働安全衛生規則15条の2第1項が名指しする「保健師」として健康管理等にあたる働き方で、資格が前提になります。資格を応募の要件にしない募集へ移る話は、この記事ではなく一般企業を扱う記事の担当です。
まとめ
- 保健師は看護師とは別の免許で、両方の国家試験に合格して保健師籍に登録することで与えられます(保健師助産師看護師法12条1項)
- 資格の効き目は名称にあります。保健師でない者がその名称を用いて2条の業をすることを禁じているのが29条です
- 受験資格は19条が3つの号で定めており、1号には「一年以上」という期間が書かれています
- 働く場で根拠が分かれます。企業は労働安全衛生法13条の2第1項と同規則15条の2第1項、行政は地域保健法施行令5条1項です
条文の当てはめは、本記事の書ける範囲の外にあります。免許・試験・採用の個別の扱いは、厚生労働省や志望先の自治体が公表している資料と担当窓口で確かめてください。
「看護師 転職 保健師」という並びで探すと、求人の一覧から入ることになります。この資格に関して先に開くべきなのは、試験と免許の条文のほうだと編集部は考えます。
参考・出典
- e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」(昭和23年法律第203号)2条・12条1項・19条・29条 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000203 (2026年9月22日に、法令API v2へ条ごとに問いの形を変えて2回照会し、返ってきた本文を突き合わせた。食い違いは0件)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(昭和47年法律第57号)13条の2第1項 https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057 (同日・同じ手順で確認)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(昭和47年労働省令第32号)15条の2第1項 https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032 (同日・同じ手順で確認)
- e-Gov法令検索「地域保健法施行令」(昭和23年政令第77号)5条1項 https://laws.e-gov.go.jp/law/323CO0000000077 (同日・同じ手順で確認)
- 千葉県「保健所(健康福祉センター)一覧・各種相談」 https://www.pref.chiba.lg.jp/kenfuku/kenkoufukushi/soudan.html (ページの更新日2026年2月27日。2026年9月22日に編集部が確認)
- 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」結果の概要1 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/24/dl/kekka1.pdf (就業場所別の実人員・構成割合。2026年7月29日に編集部が確認した内容として記録されているもの)
- 厚生労働省「第112回保健師国家試験、第109回助産師国家試験及び第115回看護師国家試験の合格発表」 https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2026/siken03_04_05/about.html (2026年9月24日に編集部が確認した内容として記録されているもの)
- 検索結果の実測(ラッコキーワードMCP。2026年9月22日に編集部が「看護師 転職 保健師」の上位10件の見出しとページの種類を取得した)

