おすすめランキングを上から順に見て、どれに登録するかを決めようとしていませんか。この記事は、サービスの順位を作らずに、判断の軸だけを渡すための記事です。
結論から書きます。**決まるのは「どのサービスが良いか」ではなく、「何を任せて、何を自分で決めるか」です。**以下では、お金の流れ、法律で公表が義務づけられたデータ、千葉県で確認すべき点の順に整理します。
転職サイトは「どれを使うか」より「何を任せるか」で決まる
編集部の結論は一つです。**サービスの序列を覚えても、あなたの転職はよくなりません。**変わるのは、任せる範囲を自分で決められたかどうかです。
理由は次の節から順に説明しますが、先に全体像を示します。看護師向けの転職サービスは、役割で3つに分かれます。
- スカウト型:登録しておくと条件に合う打診が届く。自分の市場価値を測る用途に向く
- 転職エージェント:担当者がつき、求人の紹介・日程調整・条件の交渉まで代行する
- 求人サイト・求人データベース:掲載されている求人を自分で検索する
編集部が勧める使い方は、この3つの役割を1つずつ持つことです。同じ役割のサービスを5つも6つも登録する必要はありません。増やすべきなのはサービスの数ではなく、比べられる求人の数です。

転職エージェントと転職サイトは、法律上は別の事業です
まず用語を分けます。この2つは同じ「転職サービス」に見えて、法律上は別の事業です。
転職エージェントにあたるのが有料職業紹介です。求人と求職の申込みを受けて、雇用関係の成立をあっせんする事業を指します(職業安定法4条1項)。この事業を行うには、厚生労働大臣の許可が必要です(同法30条1項)。
一方、求人情報を掲載するサイトやスカウト型のサービスは募集情報等提供にあたります(同法4条6項)。このうち労働者になろうとする者に関する情報を収集して行うものは「特定募集情報等提供」と呼ばれ、届出制です(同法4条7項、43条の2第1項)。
違いは、あいだに人が入るかどうかです。エージェントには担当者がつき、求人の選定から条件の交渉まで人の手が入ります。サイト型は求人情報の場を提供するもので、応募の判断はあなたが行います。
そして**どちらも、あなたが利用料を払う仕組みにはなっていません。**費用を負担しているのは、採用する側です。次の節でその金額を見ます。
「無料」の裏側にある金額は、常用就職1件あたり約103万円
採用側が払う手数料は、常用就職1件あたり平均で約103万円でした(前年度比+10.9%)。厚生労働省が2026年3月31日に公表した、令和6年度の職業紹介事業報告書の集計結果(速報)の数値です。
同じ集計で、職業紹介事業の手数料収入は全体で約9,835億円(+17.6%)、うち常用就職に係る手数料は約9,136億円(+16.8%)でした。**この約103万円は全産業の平均であり、看護分野に限った金額ではありません。**編集部が確認した範囲では、医療・介護分野が支払う紹介手数料の額を職種別に示した公的な集計は見当たりませんでした。
それでも、この水準が医療現場で問題として扱われていることは、事実で確認できます。**2026年3月18日、日本医師会と四病院団体協議会のワーキンググループが報告書を公表しました。**紹介手数料の上限規制の導入と返戻金制度の義務化などを提言し、厚生労働大臣に要望した内容です。採用する側が、自ら規制を求めている状態です。
ここから読み取れることは2つあります。
- あなたが払わないのは、あなたが客ではないからです。客は採用する側で、収入は入職が決まった時点で発生します
- 決まらなければ収入はゼロです。だから早く決めてほしいという力が、構造として働きます
担当者が急かしてくるとしたら、それは人柄ではなく報酬の設計の問題です。悪意を前提にする必要はありません。ただし助言の背景にこの構造があることは、知っておいてください。
返戻金制度の義務化が提言されている背景には、早期の離職があります。2024年度の既卒採用者の離職率は16.1%で、新卒採用者の8.4%のおよそ2倍でした(日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」2026年3月31日公表)。転職した先で続かない例は、珍しくありません。
比べる材料は、口コミではなく公表が義務づけられたデータにあります
**有料職業紹介事業者には、実績をインターネットで情報提供する義務があります。**根拠は職業安定法32条の16第3項と、同法施行規則24条の8第3項1号から5号です。実務上の掲載先は、厚生労働省の人材サービス総合サイトです。
公表される項目は次の5つです。
| 施行規則24条の8第3項 | 公表される内容 |
|---|---|
| 1号 | 就職者数・無期雇用就職者数 |
| 2号 | 無期雇用就職者のうち離職した者の数 |
| 3号 | 同じく離職の有無が不明な者の数 |
| 4号 | 手数料に関する事項 |
| 5号 | 返戻金制度に関する事項 |
このうち手数料の実績(取扱職種ごとの常用就職1件あたりの平均手数料率)の公表は、2025年4月1日から始まりました。
**この制度は、医療・介護・保育に限った規制ではありません。**分野を問わず、すべての有料職業紹介事業者にかかる義務です。医療の記事でよく取り上げられるのは紹介手数料が病院の経営問題になっているからであって、制度が医療専用だからではありません。
一方で、この分野にだけある制度もあります。「医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者の認定制度」です。厚生労働省の委託事業として運営され、28項目の基準と3年ごとの更新で認定されます。2026年9月5日に「看護師 転職サイト」の検索上位ページの見出しを取得したところ、この認定マークを自社サイトに掲示している事業者が実際にありました。
つまり、あなたが自分で確認できる材料は次の3つです。
- 許可・届出の有無(人材サービス総合サイトで事業者名から検索できます)
- 就職者数と離職者数(上の表の1号〜3号)
- 認定の有無(医療・介護・保育分野の認定制度)
**編集部がこの記事で「おすすめ◯選」やランキングを作らないのは、順位を付けるだけの調査を自分で行っていないからです。**比較記事で順位や評価を示すなら、調査の方法・対象・時期を記事内に示す必要があります(景品表示法5条1号)。当メディアは看護師を対象とした調査を実施していません。だから序列は作らず、あなたが自分でデータを引ける場所を示します。
なお「No.1」のような表示も使いません。合理的な根拠を示す資料を提出できない表示は、優良誤認表示とみなされます(同法7条2項)。
千葉で使うなら、確認すべき数字は3つあります
1つ目は、求人の多さです。千葉県の「保健師,助産師,看護師」の有効求人倍率は、2026年7月で2.23倍でした(有効求人3,199人・有効求職1,433人)。これはハローワークの職業紹介統計であり、民間の紹介会社を含めた市場全体の倍率ではありません。看護師だけの値でもなく、保健師・助産師を含む職業分類の数字です。
求人が求職を上回る市場では、サービス側は求人を紹介しやすくなります。紹介される件数が多いことは、あなたに合う求人が多いことを意味しません。
**2つ目は、看護職の絶対数の少なさです。**千葉県の就業看護師は52,318人、人口10万人あたり837.0人で、47都道府県中45位でした(千葉県「令和6年千葉県衛生統計年報(衛生行政)」2024年12月31日現在)。全国平均は1,101.1人です。
**3つ目は、選択肢の分布です。**編集部が県の病院名簿(2026年4月1日現在)の284病院に、関東信越厚生局の施設基準の届出受理状況(2026年7月1日現在)を結合して集計しました。
| 二次医療圏 | 千葉県内の病院数 |
|---|---|
| 千葉(千葉市) | 46 |
| 東葛南部(船橋・市川・浦安など) | 61 |
| 東葛北部(松戸・柏・流山など) | 57 |
| 印旛(成田・佐倉など) | 30 |
| 香取海匝(銚子・旭など) | 20 |
| 山武長生夷隅(東金・茂原など) | 23 |
| 安房(館山・鴨川など) | 15 |
| 君津(木更津など) | 19 |
| 市原(市原市) | 13 |
| 合計 | 284 |
東葛南部と東葛北部の2圏域だけで118病院、県内の41.5%が集まっています(編集部の算出)。開設者区分では医療法人が216病院で、全体の76%を占めます(編集部の算出)。
このうち急性期系の入院料を届け出ている病院は132でした。残る152病院は、届出をしていない病院と、名簿と厚生局データの時点差で結合できなかった病院の両方を含みます。**届出がないと確定したわけではありません。**なお入院料は病棟ごとの届出であり、病院全体の看護職員の配置人数を示すものではありません。
千葉で転職サービスを使うときに確かめたいのは、あなたが通える圏域の求人をそのサービスが持っているかです。県全体の求人数が多くても、安房や市原のように病院が十数施設の圏域では、実際に選べる先は限られます。

登録しなくていい人もいます
全員に勧められる商品は、誰のためのものでもありません。編集部は、次に当てはまる人には登録を勧めません。
- **行きたい病院がすでに決まっている人。**その病院が自院の採用ページで募集しているなら、直接応募で足ります
- **今の職場の条件を、まだ数えていない人。**比較の基準がないまま求人を見ても、提示された条件がよいのか判断できません
- **当面は動く気がない人。**登録すれば連絡が始まります。情報だけが欲しいなら、求人サイトの検索機能で足ります
千葉県内には、民間サービス以外の窓口もあります。千葉県看護協会が運営する千葉県ナースセンターは、2025年度の実績として新規求人1,515人・新規求職者648人・就業412人を公表しています(「令和7年度事業報告」)。利用の条件や取り扱う求人の範囲は、窓口で直接確認してください。
**編集部は「登録しないと損をする」という書き方をしません。**今日動かない人が数年後に動く場合でも、必要な材料は同じだからです。
使うと決めたときに、渡すものと渡さないもの
使うと決めた場合の順番は、次の5段階です。
- **今の条件を数える。**基本給、手当の内訳、月の残業時間、夜勤の回数を書き出します
- **行きたい病院のリストを自分で作る。**圏域と施設の種類で候補を挙げます
- **役割ごとに1つずつ登録する。**スカウト型・エージェント・求人サイトで各1つが目安です
- **連絡の手段と頻度を最初に指定する。**電話が負担なら、その旨を最初に伝えます
- **提案された求人をリストと突き合わせる。**提案は「世の中の求人」ではなく、そのサービスが扱っている求人です
**渡してよいのは作業で、渡してはいけないのは判断です。**書類の添削、面接の日程調整、条件の交渉、職場の情報の確認は、遠慮なく任せてかまいません。自分で決めるのは、どこに行くかと、いつ動くかの2つだけです。
著者(コロ助)は看護職ではありませんが、別の業界で職種特化型のエージェントを使って転職した経験があります。そのとき役に立ったのは求人の数ではありませんでした。面接の前に「この面接官はこういう質問をする、意図はこうだから、こう答えるとよい」という具体的な助言をもらえたことが、いちばん効きました。担当者の価値は、求人票に書かれていないことをどれだけ知っているかに出ます。
なお、労働条件や制度の個別の判断については、専門家や公的機関の窓口で確認してください。本記事は一般的な情報を整理したものです。
よくある質問
看護師の転職サイトはどこがいいですか?
**編集部は特定のサービス名を挙げません。**順位を付けるための調査を自分で行っていないためです。代わりに、人材サービス総合サイトで許可・届出の有無と就職者数を確認し、あなたが通える圏域の求人を持っているかを問い合わせで確かめてください。
看護師転職サイトとは何ですか?
担当者がついて求人をあっせんするものは有料職業紹介で、厚生労働大臣の許可を受けた事業です(職業安定法4条1項、30条1項)。求人情報を掲載するサイトやスカウト型のサービスは募集情報等提供にあたります(同法4条6項)。呼び方は同じ「転職サイト」でも、中身が違います。
看護師の転職サイトはいくつ登録するのがいいですか?
**編集部の意見は、役割ごとに1つずつの合計3つまでです。**同じ役割のサービスを増やしても、届く求人は重なります。登録先が増えるほど連絡の管理に時間を取られ、比べること自体が目的になりがちです。
看護師転職サイトの最大手はどこですか?
**編集部が確認した範囲では、看護師向けサービスの規模を横断して比べた公的な集計は見当たりません。**ただし事業者ごとの就職者数は公表されています(職業安定法32条の16第3項、同法施行規則24条の8第3項1号)。人材サービス総合サイトで、事業者を指定して確認できます。
看護師の転職サイトの採用率はどれくらいですか?
**サービス経由の採用率を示した公的なデータは、編集部が調べた範囲では確認できませんでした。**近い材料として、就職者数と、無期雇用就職者のうち離職した者の数が公表されています(同施行規則24条の8第3項1号〜3号)。決まりやすさよりも、決まった後に続いているかを見るほうが実態に近づけます。
転職サイトに登録すると職場にバレませんか?
**編集部は「バレない」とは断定できません。**ただし職業紹介や募集情報等提供の事業者は、あなたの個人情報を業務の目的の達成に必要な範囲内で収集・保管・使用することとされています(職業安定法5条の5第1項)。在職中に登録する場合は、現在の勤務先への情報の取扱いを最初に確認してください。
看護師は転職サイトを使わないほうがいいですか?
**一律には言えません。**応募したい病院が決まっているなら、直接応募で足ります。一方で、条件の交渉や日程の調整を代わりに進めてほしいなら、使う価値があります。判断の材料は、この記事の手数料の節に整理しました。
まとめ
- 転職エージェント(有料職業紹介)と転職サイト(募集情報等提供)は、法律上は別の事業です
- あなたが料金を払わないのは、費用を採用側が負担しているからです。常用就職1件あたりの手数料は平均で約103万円でした(令和6年度・全産業)
- 比べる材料は口コミではなく、法律で公表が義務づけられた就職者数・離職者数・手数料・返戻金制度にあります
- 千葉県の看護職の有効求人倍率は2.23倍(2026年7月)ですが、病院の4割強は東葛南部と東葛北部に集まっています
- **登録しなくていい人もいます。**行き先がすでに固まっている場合と、今の条件をまだ数えていない場合です
編集部の立場は変わりません。**サービスは、作業を任せるために使うものです。**どこへ行くか、いつ動くかは、任せずに自分で決めてください。
いま登録する必要はありません。ただし、今の職場の条件を数字で書き出す作業だけは、動く前でも損になりません。
参考・出典
- 厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」(2026年3月31日公表。手数料収入 約9,835億円/常用就職に係る手数料 約9,136億円/常用就職1件あたり 約103万円) https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001683019.pdf
- 日本医師会・四病院団体協議会「有料職業紹介事業に関するワーキンググループ」報告書(2026年3月18日公表。紹介手数料の上限規制・返戻金制度の義務化の提言) https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20260318_1.pdf
- 公益社団法人日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」(2026年3月31日公表。2024年度実績の離職率) https://www.nurse.or.jp/home/assets/20260331_nl01.pdf
- 職業安定法(昭和22年法律第141号)4条1項・4条6項・4条7項・5条の5第1項・30条1項・32条の16第3項・43条の2第1項 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141 (条文は2026年7月26日〜7月28日に原文照合)
- 職業安定法施行規則(昭和22年労働省令第12号)24条の8第3項1〜5号 https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40002000012 (同上)
- 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)5条1号・7条2項 https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000134 (同上)
- 厚生労働省 人材サービス総合サイト(許可・届出事業者の検索、就職者数・離職者数・手数料の確認) https://jinzai.hellowork.mhlw.go.jp/
- 医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者の認定制度 https://www.jesra.or.jp/tekiseinintei/
- 厚生労働省千葉労働局「求人・求職・賃金バランスシート」(2026年7月。職業分類13 保健師,助産師,看護師) https://jsite.mhlw.go.jp/chiba-roudoukyoku/content/contents/R0807BS.pdf (2026年9月5日確認)
- 千葉県健康福祉部健康福祉指導課「令和6年千葉県衛生統計年報(衛生行政)」(2024年12月31日現在) https://www.pref.chiba.lg.jp/kenshidou/toukeidata/kakushukousei/eisei/r6-nenpou-eisei.html (2026年9月5日確認)
- 千葉県健康福祉部医療整備課「令和8年度 病院名簿」(2026年4月1日現在) https://www.pref.chiba.lg.jp/iryou/sidou/documents/r8byouinmeibo.xlsx (2026年9月5日確認)
- 厚生労働省関東信越厚生局「保険医療機関・保険薬局の施設基準の届出受理状況」(千葉県・2026年7月1日現在) https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/chousa/kijyun.html (2026年9月5日確認)
- 公益社団法人千葉県看護協会「令和7年度事業報告」(千葉県ナースセンター事業・2025年度実績) https://www.cna.or.jp/uploads/media/2026/05/20260519094528.%E4%BB%A4%E5%92%8C%EF%BC%97%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E5%A0%B1%E5%91%8A.pdf (2026年9月5日確認)
