あなたの給料を上げるためのお金は、勤め先の中で作られているわけではありません。もとになっているのは国が決める価格で、そこから配られた分が職場を通って明細に届きます。
本記事は、いまの金額が高いか安いかを判定しません。見るのは、その経路のどこで止まりうるかと、下限を決めている条文のほうです。
年収を上げる方法の一覧は、ここには並べていません。

体の異変は、給料の話より先に扱います
眠れない、食べられない、出勤の前に涙が出る。どれかが続いているなら、金額の話をいったん置いて、医療機関の受診と下の電話に先に手を伸ばしてください。
コロ助という名前で書いていますが、医療にも法律にも資格を持っていません。ここに載せているのは、行政が公表しているページからの書き写しです。体の状態についての見立ては、本記事に1行も入っていません。
| 窓口 | 電話番号 | 受付 |
|---|---|---|
| 働く人の「こころの耳電話相談」 | 0120-565-455(フリーダイヤル) | 平日(月曜日〜金曜日)17:00〜22:00(受付は21:50まで)/土曜日・日曜日10:00〜16:00(受付は15:50まで)。祝日、振替休日、年末年始(12月29日〜1月3日)を除く |
| #いのちSOS | 0120-061-338(フリーダイヤル・無料) | 月曜日〜日曜日 00:00〜24:00(毎日24時間) |
| こころの健康相談統一ダイヤル | 0570-064-556(ナビダイヤル) | 相談対応の曜日・時間は都道府県によって異なります |
(上の3件は、厚生労働省「こころの耳」の電話相談のページと、同省「まもろうよ こころ」のページに出ている表記です。2026年9月21日に、どちらのページも問いの形を変えて2回開き、名称・番号・受付の表記が一致することを確かめました)
話す相手が変わると、聞いた側にかかる決まりも変わります。相手ごとの違いは相談先ごとに秘密の扱いが分かれる理由にまとめてあります。
給料が上がる原資と配分は、こう決まっています
看護師の賃上げに充てられるお金は、国が価格を決める診療報酬の中に組み込まれています。
令和8年度の診療報酬改定では、診療報酬本体の改定率が2年度平均で+3.09%と決められました。そのうち賃上げ分は+1.70%です。
医療現場での生産性向上の取組と併せ、令和8年度及び令和9年度において、それぞれ+3.2%分のベースアップ実現を支援するための措置
(厚生労働省「診療報酬改定について」。2026年9月21日確認。数字の表記は原文のまま)
読み取れるのは、支援するための措置が講じられた、というところまでです。あなたの基本給が3.2%上がると書いてあるわけではありません。
本体の改定は令和8年6月に施行されています。
本記事が見たのは見出しの並びまでで、各ページが本文でどこまで書いているかは確かめていません。
いま手元にある金額そのものを確かめたいなら、県の公表値と欄をそろえるほうが早く済みます。手順は自分の支給額を公的な統計の項目に当てはめる手順にあります。
この原資が実際に配られる点数として、令和6年度の診療報酬改定でベースアップ評価料が設けられました。この点数は、職場が算定して初めて収入になります。
日本看護協会が2025年6月24日に公表した「2024年度『看護職員の賃金に関する実態調査』結果」では、ベースアップ評価料を「算定している」病院は73.2%、訪問看護ステーションは42.8%でした。
算定している病院が何をしたかは、同じ資料の図表46「ベースアップ評価料を算定している病院におけるベースアップ評価料の対応状況」に出ています。複数回答で、「毎月支払われる手当による引き上げ」が63.1%、「基本給の引き上げ」が30.7%でした。
制度の側で賃上げのお金が動いても、それが基本給の欄に載るとは限らないということです。複数回答のため、選択肢の割合を足しても100%にはなりません。
この2つの割合は算定している病院の中での割合で、算定していない病院がどうしているかは読めません。算定には要件があり、あなたの勤め先が算定しているかどうかを本記事は判定しません。
手当で配られた場合、その額が毎月いくらになるかは職場ごとに違います。手当の側の内訳は手当の内訳を職場ごとに並べた記事が扱っています。
「安い」を測る床は、最低賃金法が決めています
下回ってはいけない額は、法律が決めています。
使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。
(最低賃金法4条1項。2026年9月21日確認)
この額は全国一律ではありません。同法9条1項は、地域別最低賃金を「あまねく全国各地域について決定されなければならない」と定めており、千葉県に適用される額も千葉県について決まっています。
編集部は同じ日に厚生労働省の地域別最低賃金の一覧ページを開きましたが、額はPDFとExcelの中にあり、本文からは取り出せませんでした。本記事に千葉県の額を書いていないのは、到達できたところまでで止めているからです。
そして、床と比べるときに使える賃金は、明細の合計額ではありません。
次に掲げる賃金は、前二項に規定する賃金に算入しない。
一 一月をこえない期間ごとに支払われる賃金以外の賃金で厚生労働省令で定めるもの
二 通常の労働時間又は労働日の賃金以外の賃金で厚生労働省令で定めるもの
三 当該最低賃金において算入しないことを定める賃金
(最低賃金法4条3項。同日確認)
1号と2号の中身は、最低賃金法施行規則1条にあります。1項が「臨時に支払われる賃金及び一月をこえる期間ごとに支払われる賃金」で、2項は3つの号に分かれています。
午後十時から午前五時まで(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十七条第四項の規定により厚生労働大臣が定める地域又は期間については、午後十一時から午前六時まで)の間の労働に対して支払われる賃金のうち通常の労働時間の賃金の計算額をこえる部分
(最低賃金法施行規則1条2項3号。同日確認)
2項の1号は所定労働時間をこえる時間の労働に対する賃金、2号は所定労働日以外の日の労働に対する賃金です。夜の時間帯や休みの日に働いて増えた分は、床と比べるときの額には入りません。
賞与も、1項の「一月をこえる期間ごとに支払われる賃金」のほうに入ります。夜勤の回数を増やして手取りを押し上げても、床との距離だけは動かないということです。
あなたの明細にある「夜勤手当」という名前の手当が、この号のどれに当たるかまでは本記事では扱っていません。床を上回っていることも、金額が十分だという意味にはなりません。最低賃金法が定めているのは下限だけです。

引かれている分は、全額払いの条文から見ます
手取りが少ない理由が、支給ではなく控除の側にあることもあります。寮費や積立金の控除が許される場面は、条文で区切られています。
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
(労働基準法24条1項。2026年9月21日確認)
賃金の一部を控除できる場合として書かれているのは2つです。法令に別段の定めがある場合と、過半数組合または過半数代表者との書面による協定がある場合になります。
この項に「就業規則」の語はありません。就業規則に書いてあることだけを理由に給与から何かを引く、という筋道は、この条文からは出てきません。
個別の控除が協定に基づくものかどうかまでは、本記事では扱っていません。明細の控除欄に見覚えのない項目があるなら、労働基準監督署が相談を受け付ける公的な窓口になります。
比べる相手を千葉県の資料に取り替えると、見えるものが変わります
比べる相手は、辞めると決めていない段階でも自分で取り替えられます。
- 夜勤を減らしたときに動く額 — 夜勤の回数を落とすと、月の支給額がどれだけ動くか
- 通える範囲にある職場の顔ぶれ — 千葉県は9つの二次医療圏に分かれ、圏域ごとに病院の数も種類も違う
1つ目は夜勤をやめると月にいくら減るかを試算した記事、2つ目は通える範囲を決めてから候補を絞る記事にあります。どちらも、転職サービスに登録しないまま開けます。
編集部は、金額を理由に辞めることを止めません。勧めるのは、原資がどこで止まっているかを先に見てから、辞めるか続けるかを決めることです。
求人票の月給は、本記事が引いた改定率や調査とは別の物差しで書かれたものです。比べる相手には入れていません。
求人を眺めて相場をつかむこと自体は、比べる相手を増やす作業に入ります。ただし、今日のうちに登録を済ませなければならない理由は、本記事のどこにもありません。そのサービスの収入がどこから出ているかは誰が客で誰が商品なのかを先に確かめる記事にまとめてあります。
よくある質問
転職すれば給料は上がりますか?
上がるとも下がるとも、編集部は答えを出しません。移った先の収入も同じ診療報酬から来ており、賃上げの原資が配られる仕組みのほうは変わらないためです。
まとめ
- 賃上げの原資は診療報酬で、配られた分が基本給に載るか毎月の手当で配られるかは病院ごとに分かれます(算定している病院は73.2%、対応は手当による引き上げ63.1%・基本給の引き上げ30.7%)
- 最低賃金法が決めているのは下限だけで、賞与や夜間・休日に増えた分は比べる額に入らず、給与から控除できるのは法令の定めか書面協定がある場合に限られます(同法4条3項・同法施行規則1条、労働基準法24条1項)
本記事が見たのは金額ではなく、金額ができるまでの経路です。どこで止まっているかが分かると、辞めるという答えも、続けるという答えも、同じ材料から出せます。
ここにあるのは、条文の文言と公表資料の数値だけです。明細への当てはめと個別の可否は、労働基準監督署か公的な相談の窓口で確かめてください。
参考・出典
- 厚生労働省「診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001620952.pdf (2026年9月21日に編集部が確認)
- 公益社団法人日本看護協会「2024年度『看護職員の賃金に関する実態調査』結果」 https://www.nurse.or.jp/home/assets/20250624_nl02.pdf (2026年9月21日に編集部が確認)
- e-Gov法令検索「最低賃金法」(昭和34年法律第137号)4条1項・3項、9条1項 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000137 (2026年9月21日に編集部が確認)
- e-Gov法令検索「最低賃金法施行規則」(昭和34年労働省令第16号)1条1項・2項3号 https://laws.e-gov.go.jp/law/334M50002000016 (2026年9月21日に編集部が確認)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)24条1項 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 (2026年9月21日に編集部が確認)
- 厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/ (2026年9月21日に編集部が確認)
- 厚生労働省「こころの耳」働く人の「こころの耳電話相談」 https://kokoro.mhlw.go.jp/tel-soudan/ (2026年9月21日に編集部が確認)
- 厚生労働省「まもろうよ こころ」 https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/ (2026年9月21日に編集部が確認)

