看護師の退職の伝え方|伝えた日から動く条文を先に読む

コロ助

辞めると決めたあと、次に止まるのは伝える相手と時期です。ここで効いてくるのは言い方ではなく、伝えた日を起点に何が動くかを定めた条文のほうです。

伝える時期の枠は就業規則の側にあり(労働基準法89条3号)、雇用が終わるまでの期間は、契約に期間の定めがあるかどうかで別々の条文が決めています。この記事は、師長へ言うための例文を1つも作りません。

退職を伝える前に確かめる3つの段を縦に並べた模式図

切り出す前に開くのは、例文集ではなく就業規則です

いつまでに、誰に、どうやって申し出るか。この枠を書く場所は、法律のほうで指定されています。

常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
三 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
(労働基準法89条柱書・3号。2026年9月21日に法令APIで条文を取り出し、別の問い方でもう一度取り直して突き合わせた)

読むのは3号です。申し出の時期・提出先・書式が職場で決まっているなら、それはこの号に入る事項として書かれているはずの場所になります。

ただし、作成の義務がかかるのは常時10人以上の労働者を使用する使用者です。10人未満の事業場にはこの義務そのものがなく、書かれたものが手元に出てこない場合もあります。

就業規則に「1か月前までに申し出ること」と書かれている場合に、民法が定める期間とどちらが先に立つのかは、条文の文言だけでは決まりません。編集部はこの点について原典を確かめられていないため、本記事はどちらが先かを書きません。

この検索語の上位で、条番号は見出しに出ていません

2026年9月21日に、この検索語の上位10件の見出しを抜き出しました。10件のうち5件が、見出しに「例文」の語を置いています。のべ322件の見出しのうち、条番号が入っているものは1件もありませんでした。

数えたのは見出しだけです。本文に条文が書かれているかどうかまでは、編集部は10件を開いていません。

誰に話すかで、聞いた側に生じるものは変わります。職場の中の相手と外の窓口の違いは守秘義務を負う相手と、負わない相手にまとめてあり、本記事は相談相手の選び方には入りません。

期間の定めのない雇用と、期間を定めた契約では、根拠になる条文が別です

あなたの契約に期間の定めがないなら、解約の申入れの日から二週間を経過することで雇用が終わります。根拠は民法627条1項で、この項の中身は親記事のほうで扱っています。

期間を定めた契約で働いている場合、この項は当てはまりません。民法は別の条を置いています。

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。
(民法628条。2026年9月21日に法令APIで取り出し、問いの形を3回変えて文面を突き合わせた)

同じ条はこの文に続けて、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負うとも定めています。何が「やむを得ない事由」に当たるかは、条文には書かれていません。あなたの事情がここに入るかどうかは、本記事の書ける範囲の外にあります。

期間を定めた契約には、労働基準法の附則にもう1つの定めがあります。

期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
(労働基準法附則137条。2026年9月21日に法令APIの附則の指定で取り出し、括弧書きの中身と末尾の文言を別の問いで取り直して突き合わせた)

括弧が2つ付いています。対象になるのは期間が1年を超える契約を結んだ労働者で、一定の事業の完了に必要な期間を定めるものは除かれます。労働基準法14条1項各号に規定する労働者も除かれており、その号の中身は本記事では取り上げていません。

自分の契約に期間の定めがあるかどうかは、言い方の工夫では変わりません。手元の労働契約書と労働条件通知書の期間の欄を、切り出す日を決める前に見てください。

伝えたあとに受け取る書類は、請求しないと出てきません

退職のときに使用者へ求められるものが、労働基準法に2つ置かれています。

労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
(労働基準法22条1項。2026年9月21日に法令APIで取り出し、項の数と条の見出しを別の問いで確かめて突き合わせた)

証明書に書ける事項として並んでいるのは、使用期間・業務の種類・その事業における地位・賃金・退職の事由です。同じ条の3項は、前二項の証明書には労働者の請求しない事項を記入してはならないと定めています。どれを書いてもらうかを、あなたの側で選べるということです。

もう1つは、賃金や預けたものの扱いです。

使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。
(労働基準法23条1項。同日に同じ経路で取り出し、「七日以内」の語を含むかと条の見出しを別の問いで確かめた)

ここでも起点は請求です。黙っていても7日以内に届く、という定め方はされていません。

退職時の証明書と金品の返還が本人の請求を起点に動くことを示した模式図

伝える日を決めるときに、この2つを誰へどう請求するかも一緒に決めておけます。

引き止められたときに、条文の側が動くわけではありません

「辞めさせてもらえない」という言い方は、検索のうえでも実在します。ただし、引き止めそのものを禁じた条文に、編集部はたどり着いていません。労働基準法に置かれているのは、次の条文です。

使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
(労働基準法5条。2026年9月21日に法令APIで取り出し、条の見出しと項の数を別の問いで確かめて突き合わせた)

読み取れるのは、手段を限った禁止です。人手が足りないと言われること、次の勤務表に名前が入っていること、面談を何度も設定されることがこの条に当たるかどうかを、本記事は判定しません。著者のコロ助は看護師でも医師でも弁護士でもなく、この記事に個別の事案への当てはめは書いていません。

職場の言動そのものについて事業主に課されている措置と、職場の外へ持ち込める公的な窓口は事業主に課された措置義務と公的な窓口が条番号で持っています。

伝える役を代わってもらう場合に、線を引いている条文

弁護士法には、弁護士でない者について次の定めがあります。

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
(弁護士法72条。2026年9月21日に法令APIで取り出し、条の見出しとただし書を別の問いで確かめて突き合わせた)

個別のサービスがこの線のどちら側にあるかを、本記事は判定しません。事業者の名前も挙げていません。どこまでを頼めるのかは、頼む前にその事業者自身へ書面で確かめる部分です。

伝える日を決める前に、千葉県内でそろえておけるもの

師長に切り出すより先に、あなたの側だけで手元へ置けるものがあります。

  • 労働契約書と労働条件通知書の期間の欄 — 期間の定めがあるかどうかで、上の2つの節のどちらを読むかが決まります
  • 就業規則の退職に関する事項 — 申し出の時期と方法が定まっているなら、ここに入っています
  • 通える範囲にある職場の顔ぶれ — 9つの二次医療圏のどこに、どんな病院があるかを並べます

3つ目は千葉県内で次の勤務先を探すときの入口にあります。応募の経路を自分で選ぶなら次の職場へ自分で申し込むという選択肢もあります。仲介を使う場合の費用の流れは仲介の費用を誰が払っているかを整理した記事に書いてあります。

求人票に書かれた条件は、上に並べた3つとは別の基準で示されています。退職を伝える日を決める材料とは分けてください。

辞めると伝える前に登録しておくかどうかは、あなたが決めることです。切り出す日がまだ決まっていないなら、今日登録しなければならない理由もありません。

よくある質問

看護師の退職は何ヶ月前に伝えればいいですか?

法律が定めているのは、雇用が終わるまでの長さであって、何か月前に言うかではありません。期間の定めのない雇用は解約の申入れから二週間で終わり(民法627条1項)、職場が定める申し出時期は就業規則の退職に関する事項の側です(労働基準法89条3号)。両方が食い違うときにどちらが先に立つかは、本記事では扱っていません。

退職の14日ルールとは何ですか?

「14日ルール」という名前の条文は、編集部が確認した範囲では見当たりません。元になっていると考えられるのは、期間の定めのない雇用について定めた民法627条1項です。期間を定めた契約には、この項は当てはまりません。

退職を強く引き止められたらどうすればいいですか?

引き止めを禁じた条文を、本記事は挙げていません。労働基準法5条が禁じるのは、手段を限った労働の強制(暴行・脅迫・監禁その他精神または身体の自由の不当な拘束)です。個別の言動がこれに当たるかどうかの判断は、労働基準監督署や公的な相談の窓口で確かめてください。

退職届にはどんな理由を書けばいいですか?

当メディアは、上司へ伝える文も、退職届に書く文も作っていません。退職の事由が出てくる条文としてあるのは、請求すれば交付される退職時の証明書のほうです(労働基準法22条1項・3項)。

まとめ

  • 申し出の時期と方法は就業規則の退職に関する事項(労働基準法89条3号)、期間の定めのない雇用は民法627条1項、期間を定めた契約は民法628条と労働基準法附則137条が別に定めています
  • 退職時の証明書(労働基準法22条1項)も金品の返還(同23条1項)も、あなたの請求が起点です

伝え方を磨いても、ここに並べた条文は1文字も動きません。動かせるのは、切り出す前に手元へそろえておくもののほうです。

本記事が置いたのは条文の文言までで、あなたの契約や職場の定めに当てはめた判断は書いていません。実際に動く前に、労働基準監督署または専門家の窓口で確かめてください。


参考・出典

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