看護師の夜勤

看護師の夜勤回数に法律の上限はあるか|実際に回数を決めているもの

コロ助

月5回、6回と夜勤が続くと、これは法律的に問題ないのかと考えます。先に答えを書きます。

労働基準法に、夜勤の回数を直接制限する規定はありません。「月◯回まで」という条文は存在しません。回数を実質的に縛っているのは労働法ではなく、診療報酬の施設基準と、病棟にいる夜勤要員の人数です。

期待と逆の答えになりますが、この構造が分かると、どこに働きかければ回数が動くのかも見えてきます。

労働基準法が夜勤について定めていること

回数の上限はありませんが、夜勤に関する定めがないわけではありません。労働基準法にあるのは次の2つです。

深夜に働かせた場合の割増賃金

使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
(労働基準法37条4項。2026年9月5日に原典で確認)

**これは回数の制限ではなく、対価の定めです。**午後10時から午前5時までの労働について、通常の賃金の25%以上を上乗せする義務が使用者にあります。何回働かせてもよいが、その分の割増は払え、という構造になっています。

妊産婦が請求した場合の深夜業の制限

もう1つが妊産婦に関する定めです。

使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。
(労働基準法66条3項。2026年9月5日に原典で確認)

妊産婦とは妊娠中および産後1年を経過しない女性を指します。深夜業の時間帯を定めているのは37条4項であり、66条3項自体は時間帯を定義していません。

**注意したいのは「請求した場合」である点です。**自動的に免除されるのではなく、本人が請求する必要があります。

看護師の夜勤回数を決めている3つの層を示す図解

回数を実質的に縛っているのは、診療報酬の施設基準

労働法に上限がない代わりに、別の枠組みが回数に効いています。入院基本料を算定する病棟には次の基準があります。

夜勤を行う看護職員の一人当たりの月平均夜勤時間数が七十二時間以下であること。
(基本診療料の施設基準等〔平成20年3月5日厚生労働省告示第62号〕第五「病院の入院基本料の施設基準等」二(2)。2026年9月5日に原典で確認)

これがいわゆる72時間ルールです。**ただしこれは労働者を保護する規定ではなく、診療報酬を算定するための要件です。**守られなかった場合に問われるのは労働法違反ではなく、入院基本料の算定に関わる問題になります。

この点は、日本看護協会自身が中央社会保険医療協議会へ提出した資料で明言しています。

労働基準法等の労働法制における看護職員の夜勤上限がないため、診療報酬における月平均夜勤時間72時間要件が、看護職員の夜勤労働に関する唯一の歯止めとなっている。
(公益社団法人日本看護協会「入院基本料の通則『看護職員の月平均夜勤時間72時間要件』について」2015年11月25日。2026年9月5日に原典で確認)

**看護職の職能団体が「労働法制に夜勤上限がない」と述べ、診療報酬の要件を「唯一の歯止め」と位置づけています。**冒頭の結論は、この認識と一致します。

もう1つ重要な点があります。**この基準は個人ではなく、病棟の平均で判定されます。**あなた個人が月何回入っているかではなく、病棟で夜勤をする看護職員の1人あたり平均が対象です。

夜勤帯の人数に決まりはあるのか

「夜勤 人数 法律」で調べる人も多い論点です。編集部が確認した範囲では、夜勤帯に何人配置するかを直接定めた法令の規定は見当たりません。

実際に人数を規定しているのは、診療報酬の施設基準にある看護職員の配置要件と考えられます。ただし区分ごとに求められる配置の内容は、編集部が告示の該当箇所を照合できていないため、本記事では数値を示しません。

確かなのは、**夜勤帯の人数が薄い病棟ほど、1人あたりの夜勤回数は増えるという関係です。**72時間の平均を守るには、夜勤に入る人数を増やすか、病棟全体の夜勤時間を減らすしかありません。

編集部の見方:回数が減らない原因は、上司の裁量ではない

ここが本記事で最も伝えたい点です。夜勤回数が減らない原因を上司個人に求めても、多くの場合は解決しません。

回数を決めているのは次の3層です。

  • 労働基準法:回数の上限はない(あるのは割増賃金と妊産婦の制限)
  • 診療報酬の施設基準:病棟の月平均夜勤時間数を72時間以下に収める
  • 病棟の夜勤要員数:実際の1人あたり回数はここで決まる

「夜勤を減らしてほしい」という相談が通りにくいのは、師長に権限がないからではなく、動かせる変数が人数しかないからです。 人が増えなければ、誰かの回数を減らせば別の誰かの回数が増えます。

そのうえで、回数を増やしても待遇が比例して上がるわけではありません。夜勤の回数が一定を超えた場合の増額・加算制度について、69.6%の施設が「ない」と回答しています(出典:日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」2025年6月24日公表)。

**回数は増えるが単価は変わらず、減らす手段は自分の側にほとんどない。**この構造を前提に、続けるか職場を変えるかを考えることになります。

よくある質問

看護師の夜勤は月何回までと決まっていますか?

**労働基準法に回数の上限を定めた規定はありません。**入院基本料を算定する病棟には月平均夜勤時間数を72時間以下とする施設基準がありますが(基本診療料の施設基準等〔平成20年3月5日厚生労働省告示第62号〕第五 二(2))、これは個人ではなく病棟の平均で判定されるものです。

夜勤を免除してもらうことはできますか?

妊産婦にあたる場合は、請求すれば深夜業をさせてはならないと条文が定めています(労働基準法66条3項「使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。」)。妊産婦とは妊娠中および産後1年を経過しない女性を指します。それ以外の場合の免除は、職場の就業規則や個別の話し合いによります。

夜勤の回数が多いのは違法ですか?

**回数そのものを制限する規定が労働基準法にないため、回数の多さだけをもって違法とはいえません。**ただし労働時間や休憩、割増賃金の扱いに問題があれば別の論点になります。判断に迷う場合は労働基準監督署や専門家の窓口を利用してください。

夜勤帯の看護師の人数に法律の決まりはありますか?

**編集部が確認した範囲では、夜勤帯の配置人数を直接定めた法令の規定は見当たりません。**実際の人数は診療報酬の施設基準にある配置要件と、病棟の運用によって決まっていると考えられます。

まとめ

  • 労働基準法に夜勤回数の上限規定はありません
  • 労働基準法にあるのは、深夜割増(37条4項・25%以上)と、妊産婦が請求した場合の深夜業の制限(66条3項)です
  • 回数を実質的に縛っているのは、月平均夜勤時間数72時間以下という診療報酬の施設基準です
  • ただしこれは労働者保護の規定ではなく、病棟の平均で判定されます
  • 回数を増やしても単価が上がる仕組みは、69.6%の施設にありません

編集部の見方は、回数が減らない原因を上司に求めても解決しにくいというものです。動かせる変数は病棟の夜勤要員数であり、個人の交渉で変わる部分は限られます。回数の重さが許容できないなら、病棟の配置が違う職場を探すほうが現実的です。

本記事が扱ったのは制度の枠組みです。個別の勤務が法令に適合しているかの判断は、労働基準監督署または専門家に確認してください。

参考・出典

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