誰かに話を聞いてほしい。でも申し込んだ瞬間に引き返せなくなりそうで、手が止まる。相談先を探しているときに起きるのは、たいていこの足踏みです。
先に答えを置きます。**編集部が整理した相談先は6つあり、選ぶ基準は「相談を受ける側にお金を払っているのが誰か」です。**公的な窓口に相談しても、あなたが就職したことで手数料は発生しません。民間のエージェントも無料ですが、報酬は紹介先の医療機関から出ます。
この記事では、6つの相談先を相談料・お金の出どころ・守秘義務の条番号の3点で並べます。順位は付けません。
相談先は6つ。違いは「誰がお金を払っているか」に出ます
**先に結論です。相談先の差は、親身さや実績ではなくお金の出どころで説明がつきます。**相談を受ける人にも生活があり、その給料をどこが出しているかで話の向く方向が決まるからです。
編集部が整理した6つは次のとおりです。どれも、あなたが相談料を払う仕組みにはなっていません。
| 相談先 | あなたの負担 | 相談を受ける側にお金を払っているのは誰か | 守秘の根拠(編集部が条文で確認した範囲) |
|---|---|---|---|
| 都道府県ナースセンター | 無料 | 法律上の業務が「無料の職業紹介」(看護師確保法15条5号) | 看護師確保法16条の4 |
| ハローワーク | 無料 | 国(職業安定法8条1項で「無料で公共に奉仕する機関」) | 国家公務員法100条1項 |
| 転職エージェント | 無料 | 紹介先の医療機関(常用就職1件あたり平均 約103万円) | 職業安定法51条1項・2項 |
| 求人サイト・スカウト型 | 無料 | 求人を掲載する側 | 特定募集情報等提供事業者は職業安定法51条1項の名宛人 |
| 職場の上司・看護部 | ― | あなたと同じ勤務先 | 編集部が確認した範囲では見当たらない |
| 看護師の友人・同僚 | ― | ― | 編集部が確認した範囲では見当たらない |
※「看護師確保法」は、看護師等の人材確保の促進に関する法律(平成4年法律第86号)の略称です。表中の「特定募集情報等提供事業者」とは、労働者になろうとする者に関する情報を収集して募集情報等提供を行う事業者を指す法律上の呼び名です(職業安定法4条7項)。条文はいずれも2026年9月5日にe-Gov法令検索の法令APIで本文を取得して確認しました。
表の右2列が、この記事でいちばん見てほしいところです。上の4つには守秘の条番号がつき、下の2つにはつきません。この差は、相談の質ではなく、話した内容がどこまで守られるかの差です。

公的な窓口に相談しても、あなたの就職で手数料は発生しません
**公的な相談先は2つです。都道府県ナースセンターと、ハローワークです。**どちらも相談料はかかりません。分かれ目は、看護職に限った窓口かどうかにあります。
都道府県ナースセンターは、法律で「無料の職業紹介」と決められています
**都道府県ナースセンターは、都道府県知事が指定した一般社団法人または一般財団法人です。**指定は都道府県ごとに1個に限られます(看護師確保法14条1項)。千葉県内の窓口は、千葉県看護協会が千葉県ナースセンターとして運営しています。
このセンターの業務は法律に列挙されており、その5号が「看護師等について、無料の職業紹介事業を行うこと」です(同法15条5号)。そして「無料の職業紹介」とは、いかなる名義でも手数料や報酬を受けないで行う職業紹介を指します(職業安定法4条2項)。あなたが紹介先に就職しても、センターに手数料は入りません。
相談内容の扱いにも条文があります。センターの役員・職員と、その職を離れた人は、正当な理由がなく業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないと定められています(看護師確保法16条の4)。
なお、離職したときにセンターへ届け出る制度がありますが、これは努力義務です(同法16条の3第1項)。届け出ていない人でも相談はできます。
ハローワークは、条文そのものに「無料」と書かれています
**ハローワーク(公共職業安定所)は国の機関です。**その位置づけは、職業安定法8条1項が次のように定めています。
公共職業安定所は、職業紹介、職業指導、雇用保険その他この法律の目的を達成するために必要な業務を行い、無料で公共に奉仕する機関とする。
(職業安定法8条1項。条文本文は2026年9月5日にe-Gov法令検索の法令APIで取得しました)
この窓口は、無料であることが宣伝文句ではなく条文に書かれています。看護に限らず、あらゆる職業の求職者が対象です。
守秘については、国家公務員に「職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない」義務があります(国家公務員法100条1項)。この義務は、その職を退いた後も続きます。
**千葉県では、この2つの窓口が実際につながっています。**千葉県ナースセンターは2025年度に、県内のハローワークと連携した相談ブースを78回開き、200人の相談を受けたと公表しました(公益社団法人千葉県看護協会「令和7年度事業報告」)。看護に詳しい相談員に、ハローワークの側で会える日がある、ということです。
窓口の受付時間や場所は変わることがあります。訪ねる前に、千葉県看護協会の公表情報で確認してください。
エージェントへの相談が無料なのは、報酬が紹介先から出るからです
**担当者がつくサービス(法律上は職業紹介事業者)に相談しても、あなたの支払いは0円です。**ただし、無料である理由が公的窓口とは違います。法律が、求職者から手数料を取ることを原則として禁じているためです(職業安定法32条の3第2項。この条文にはただし書きの例外があります)。
では誰が払っているのか。**紹介先の医療機関です。**厚生労働省の集計では、常用就職1件あたりの手数料は平均で約103万円でした(令和6年度)。ただしこれは全産業をならした値で、看護分野の相場を示す数字ではありません。
相談内容の守秘にも、条文が用意されています。職業紹介事業者とその従業者は、正当な理由なく業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしてはならず、この義務は退職後も続きます(職業安定法51条1項)。同条2項は、業務に関して知り得た個人情報をみだりに他人に知らせてはならないと定めています。
**つまり、相談した内容が勤務先へ流れることを、法律は許していません。**そのうえで編集部は、在職中であることを初回に自分から伝えることを勧めます。条文が縛るのは相手の漏洩であって、あなたが話す量ではありません。
職場の中で相談すると、相談したという事実のほうが先に動きます
**上司や看護部に相談する利点は、条件そのものが変わりうることです。**部署の異動、夜勤の回数、勤務の時間帯。これらは外部の相談先には動かせません。
一方で、**編集部が条文を確認した範囲では、あなたの転職相談の中身を対象とする守秘義務の規定は見当たりませんでした。**前の2つの節で挙げた条文は、公的センターの職員・国家公務員・職業紹介事業者に向けられたものです。勤務先の上司を名宛人にしてはいません。
だから、職場の中で話すときは順番が変わります。編集部が勧めるのは次の3つです。
- 変えてほしい条件を1つに絞ってから話す。「辞めたい」ではなく「夜勤を月◯回までにしたい」の形にします
- **辞める話を先に出さない。**退職の相談として受け取られると、条件の交渉ではなく引き止めか手続きの話になります
- **返事を待つ期限を自分で決めておく。**いつまでに動きがなければ外に相談するかを、話す前に決めます
看護師の友人や同僚に話す場合も構造は同じです。**現場の実感が聞ける代わりに、その人は職場の中にいます。**ここは法律ではなく、あなたの判断で線を引く場所です。
転職する気が固まっていなくても、相談していい
**編集部の立場ははっきりしています。相談は転職の入口ではなく、自分の値札を測る作業の一部です。**当メディアでいう値札とは、労働市場があなたに付けている評価のことです。測ってから決めるのと、決めてから測るのとでは、順番が逆になります。
著者(コロ助)は看護職ではありませんが、別の業界で転職を重ねてきました。2012年に初めてヘッドハンティングを受けたとき、**比べる相手を作らないまま、その1社だけを見て決めました。**給与と会社の規模という、入る前に測れる軸だけで判断したのです。動いたこと自体は正解でしたが、人間関係の相性のような数字にならない要素は、1社しか見ていない状態では測りようがありませんでした。
相談先の数は、測れる軸の数と同じだけ増えます。そこで編集部は、相談先を1つに絞らないことを勧めます。公的な窓口で相場を聞き、民間の担当者に求人の中身を聞き、職場で条件が動くかを確かめる。3つを並べて初めて、比べるという作業が成立します。
背景の数字も置いておきます。千葉県は2025年の看護職員について、需要約79,000人に対し供給約70,000人、不足約9,000人と推計していました(千葉県の計画関係資料。出典は記事末尾に記載しています。別の資料は不足8,856人と示しており、編集部は両者を同一の計算結果とは扱いません)。あくまで2025年についての推計であり、いま実測された不足数ではありません。それでも、相談先の側があなたに動いてほしがる理由は、この向きで説明がつきます。

相談しなくていい人もいます
勧めない相手を先に書くのが、当メディアのやり方です。次のどれかに当てはまるなら、いま相談する必要はないと編集部は考えます。
- **今の職場で試していない交渉が残っている人。**外に相談する前に、看護部へ条件を1つ出してみる余地があります
- **体調を崩している人。**休むことと職場を変えることは別の問題で、順番は休むほうが先です。相談先を選ぶ作業自体に体力が要ります
- **話した内容がそのまま決定に変わってしまう自覚がある人。**押されると断りにくいなら、相談の前に「今日は決めない」と自分に約束しておくほうが先です
**急かして相談させる書き方を、当メディアは使いません。**半年後に相談しても、確かめる項目は今日と変わらないからです。
相談の前に、あなたの側で決めておく3つのこと
準備は3つだけです。履歴書も職務経歴書も要りません。
- **譲れないものを1つ選ぶ。**年収か、夜勤か、通勤時間か、人間関係か。2つ以上並べると、相談相手はあなたを絞り込めません
- **今の条件がわかるものを持っていく。**給与明細1か月分と、直近3か月の夜勤の回数がわかるものがあれば足ります。比べる相手のない相談は、感想の交換で終わります
- **連絡してよい時間帯と手段を先に伝える。**日勤と夜勤が交互に来る働き方では、これを言わないだけで相談そのものが負担に変わります
そのうえで、相手から受け取るものと、自分の手元に残すものを分けてください。**求人の中身、条件の相場、書類の直しは、遠慮なく受け取ってかまいません。**手元に残すのは、どこに行くかという判断です。
制度や労働条件の個別の扱いについては、専門家や公的機関の窓口に確認してください。この記事は一般的な整理にとどまります。
よくある質問
看護師の転職相談は無料ですか?
**この記事で挙げた相談先は、いずれもあなたの支払いが発生しません。**公的な窓口は法律上の「無料の職業紹介」にあたり(職業安定法4条2項)、民間のエージェントは求職者からの手数料徴収が原則として禁じられています(同法32条の3第2項)。ただし有料でキャリア相談を提供する事業者もあるため、料金の有無は申し込む前に必ず確認してください。
相談したら必ず転職しないといけませんか?
**その必要はありません。**ナースセンターもハローワークも、就職することを条件に相談を受ける仕組みにはなっていません。民間のエージェントでも、紹介された求人を断ることは自由です。編集部は、意思が固まっていない段階の相談にこそ価値があると考えます。
今の職場に知られずに相談できますか?
**編集部は「絶対に知られない」とは書けません。**ただし職業紹介事業者とその従業者には、業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない義務があります(職業安定法51条1項)。一方、職場の同僚や上司に話した場合、この条文は働きません。誰に話すかで前提が変わります。
ナースセンターとは何ですか?
**看護師等の人材確保の促進に関する法律に基づいて置かれる、看護職向けの窓口です。**都道府県ナースセンターの業務には、看護師等についての無料の職業紹介事業が含まれます(同法15条5号)。相談だけの利用もできます。
ナースセンターは誰が指定するのですか?
都道府県ナースセンターを指定するのは、都道府県知事です(看護師等の人材確保の促進に関する法律14条1項)。指定を受けられるのは一般社団法人または一般財団法人で、都道府県ごとに1個に限られます。千葉県内では千葉県看護協会が千葉県ナースセンターを運営しています。
看護師の転職はまず何から始めればいいですか?
**編集部の答えは、給与明細と勤務表を1か所に集めることです。**相談先が公的窓口でも民間でも、話の土台になるのは今のあなたの条件だからです。ここが手元にないと、返ってきた条件がよいのか悪いのかを判断できません。
まとめ
- 編集部が整理した相談先は6つあり、選ぶ基準は相談を受ける側にお金を払っているのが誰かです
- 公的な窓口は法律上の「無料の職業紹介」にあたり(職業安定法4条2項)、あなたが就職しても手数料は発生しません(看護師確保法15条5号)
- 民間のエージェントも無料ですが、報酬は紹介先から出ます。常用就職1件あたりの平均は約103万円でした(令和6年度・全産業をならした値)
- 相談内容の守秘には条文があります(看護師確保法16条の4/国家公務員法100条1項/職業安定法51条1項・2項)。ただし職場の中で話す場合、これらは働きません
- 千葉県ナースセンターは2025年度に、県内のハローワークと連携した相談ブースを78回開き、200人の相談を受けています
編集部があなたに渡したいのは、次の一点です。**相談は、転職を決めた人がするものではありません。**決めるための材料を集める作業であり、材料は1か所からは集まりません。
最後に一つだけ。**申し込む先を選ぶ前に、相談先の候補を3つ書き出してみてください。**1つしか出てこないなら、まだ比べる準備が整っていないというだけのことです。
参考・出典
- 看護師等の人材確保の促進に関する法律(平成4年法律第86号)14条1項(都道府県センターの指定)・15条5号(無料の職業紹介事業)・16条の3第1項(離職時等の届出=努力義務)・16条の4(秘密保持義務) https://laws.e-gov.go.jp/law/404AC0000000086 (2026年9月5日にe-Gov法令API
https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/404AC0000000086で条文本文を取得し、条・項・号番号と逐語を照合。15条は項の区分がなく柱書+号で構成されていることも同日に確認) - 職業安定法(昭和22年法律第141号)4条2項(無料の職業紹介の定義)・8条1項(公共職業安定所)・51条1項・2項(秘密を守る義務等)・32条の3第2項(求職者からの手数料徴収の原則禁止) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141 (4条2項・8条1項・51条1項2項は2026年9月5日にe-Gov法令APIで条文本文を取得して照合。51条は同日に2回照会して条・項番号と逐語の一致を確認。32条の3第2項は2026年9月5日に同APIで照合済み)
- 国家公務員法(昭和22年法律第120号)100条1項(秘密を守る義務) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000120 (2026年9月5日にe-Gov法令API
?elm=Article_100で条文本文を取得して照合) - 厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」(2026年3月31日公表。常用就職1件あたり 約103万円) https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001683019.pdf /まとめページ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/shoukaishukei.html
- 公益社団法人千葉県看護協会「令和7年度事業報告」(千葉県ナースセンター事業・2025年度実績。ハローワーク相談ブース78回・相談200人) https://www.cna.or.jp/uploads/media/2026/05/20260519094528.%E4%BB%A4%E5%92%8C%EF%BC%97%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E5%A0%B1%E5%91%8A.pdf (2026年9月5日確認)
- 千葉県「8 様々な視点から取り組むべき事項」(2025年の看護職員需給推計。需要約79,000人・供給約70,000人・不足約9,000人) https://www.pref.chiba.lg.jp/shoufuku/8-keikaku/kouhyou/12samazama.html /千葉県健康福祉部健康福祉政策課「令和6年度医療介護総合確保計画の概要」(p.1。2025年の不足8,856人) https://www.pref.chiba.lg.jp/kenfuku/keikaku/iryoukaigo/documents/r6keikakugaiyou.pdf (いずれも2026年9月5日確認)
- 厚生労働省 人材サービス総合サイト(許可・届出事業者の検索) https://jinzai.hellowork.mhlw.go.jp/
