夜勤が何時に始まって何時に終わるかを決めているのは、法律ではありません。あなたの職場の就業規則です。労働基準法が時刻そのものを定めているのは、割増賃金がかかる午後10時から午前5時までの部分だけです(37条4項)。
1回の長さも同じです。法律は「夜勤は何時間まで」ではなく、1日の労働時間の原則を定めているだけで、そこから先は勤務表の組み方の問題になります。時刻の例を並べるかわりに、時刻を決めている側の仕組みを見ていきます。

始業と終業の時刻は、法律ではなく就業規則が決めています
「夜勤」という言葉は、労働基準法の用語ではありません。同法にあるのは「深夜」で、その範囲は次のように書かれています。
使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
(労働基準法37条4項)
この7時間は、割増賃金の対象になる時間帯を決めているだけです。何時に出勤して何時に上がるかを決めているわけではありません。
つまり「深夜」は法律の言葉で、「夜勤」は職場の言葉です。 夜勤の始業と終業は、就業規則と勤務表にしか書かれていません。同じ千葉県内の病院でも、隣の病院と同じ時刻である必然性はどこにもないということです。
求人票を見て時刻が分からないときに問い合わせる先も、ここから決まります。問い合わせるなら、聞く対象はその病院の就業規則にある始業・終業の時刻です。
「時間」について、法律とガイドラインが定めている数字
夜勤の長さに関係する数字を、根拠ごとに並べます。上の5つは法律の定め、下の2つは日本看護協会が示した基準です。性質がまったく違うので、混ぜて読まないでください。
| 何を定めているか | 数値 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1週間の労働時間の原則 | 40時間 | 労働基準法32条1項 |
| 1日の労働時間の原則 | 8時間 | 労働基準法32条2項 |
| 割増賃金がかかる時間帯 | 午後10時〜午前5時 | 労働基準法37条4項 |
| 8時間を超える勤務に必要な休憩 | 1時間以上 | 労働基準法34条1項 |
| 休日の回数 | 毎週1回、または4週で4日以上 | 労働基準法35条1項・2項 |
| 1回の勤務の拘束時間(目安) | 13時間以内 | 日本看護協会ガイドライン(2013年) |
| 勤務と勤務の間隔(目安) | 11時間以上 | 同 |
(32条・35条は2026年9月5日にe-Gov法令検索で本文を取得して照合しました。34条1項と37条4項は、編集部が同日時点で検証済みの記載から引いています)
**日本看護協会のガイドラインは法令ではありません。**同会が示した基準であり、これを外れても違法にはなりません。ただし、職能団体が「この長さを超えると負担が重い」と考える線がどこにあるかは分かります。
二交代の16時間夜勤は、1日8時間の例外を使って組まれています
上位の解説記事がほとんど触れていない部分に入ります。1日8時間を超える勤務が、なぜ所定の勤務として成立するのかという話です。
原則はこう書かれています。
使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
(労働基準法32条2項。2026年9月5日に原典で確認)
この条文だけを読むと、16時間の勤務は組めません。組めるようにしているのが次の条文です。
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、一箇月以内の一定の期間を平均し一週間当たりの労働時間が前条第一項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。
(労働基準法32条の2第1項。2026年9月5日に原典で確認)
1か月以内の期間で平均して週40時間に収まる定めをすれば、特定の日だけ8時間を超えて働かせてよい、という条文です。これが1か月単位の変形労働時間制と呼ばれるものです。
16時間の夜勤は、この定めがあって初めて所定の勤務として成立します。 定めがない場合、8時間を超えた分は時間外労働として扱われることになります。どちらの形になっているかは、就業規則と労使協定を見なければ分かりません。
なお、編集部が本記事で条文を照合したのは32条・32条の2・34条1項・35条・37条4項の範囲です。32条の3から32条の5までにも別の類型がありますが、本記事では照合していないため扱いません。
三交代は24時間を3つに割るため、1回は8時間前後に収まります
長さの違いは、24時間をいくつに割るかで決まります。これは算術の問題です。
三交代制は1日を3つに分けるため、単純に割れば1回あたり8時間になります(編集部の算出)。**8時間は、32条2項が定める1日の労働時間の原則と同じ数字です。**三交代の各勤務が原則の枠に収まりやすいのは、この一致によります。
二交代制は1日を2つに分けます。均等に割れば12時間ずつですが、日勤側を8時間前後に置くと、残りの16時間前後が夜勤側へ寄ります(編集部の算出)。16時間という長さは、夜勤の負担から決まったのではなく、日勤を原則の枠に収めた結果として出てくる数字です。
| 比べる点 | 二交代制 | 三交代制 |
|---|---|---|
| 1日の分け方 | 2つ | 3つ |
| 均等に割った場合の1勤務 | 12時間 | 8時間 |
| 日勤を8時間前後に置いた場合の夜勤側 | 16時間前後 | 8時間前後 |
| 1日8時間の原則(32条2項)との関係 | 超えるため変形労働時間制の定めが要る | 収まる形に組める |
| 1か月の出勤回数 | 少なくなる | 多くなる |
(この表は、条文と24時間の割り算から編集部が整理したものです。実際の始業・終業の時刻は各施設が定めます)

**どちらの勤務形態が多数派かは書きません。**編集部が原典で照合できた構成割合のデータがないためです。応募先がどちらの形態かは、求人票の勤務形態欄に書かれています。
「夜勤明け」は、休みではなく勤務が終わる日です
夜勤明けの朝に病院を出ると、その日はもう働かなくてよい日になります。ただし、それは休日ではありません。労働基準法の休日は、次のように定められています。
使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
(労働基準法35条1項。2026年9月5日に原典で確認)
前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
(同35条2項)
条文が定めているのは休日の回数であって、夜勤が明けた日をどう扱うかではありません。本記事で開いたのは労働基準法の条文です。明けの日の扱いを定めた規定は、その中に見当たりませんでした。
明けの日を休みとして数えてしまうと、実際に体を休められる日はその分だけ少なくなります。ここで効いてくるのが、日本看護協会が示した基準です。
- 勤務と勤務の間隔は11時間以上あける
- 夜勤の連続回数は2連続(2回)までとする
- 2回連続夜勤後にはおおむね48時間以上の休息を確保する
(日本看護協会「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」2013年。勤務編成の基準①④⑧)
明けの翌日にまた勤務が入っていれば、間隔は11時間を切ることがあります。勤務表を見るときに数えるべきなのは、明けの日そのものではなく、次の勤務の始業までに何時間空いているかのほうです。
200床未満の病院が、千葉県の3分の2近くを占めます
夜勤の時間割は病院単位ではなく、病棟単位で組まれます。そこで、千葉県内の病院がどれくらいの規模で分布しているかを編集部が集計しました。
母集団は千葉県の病院名簿(2026年4月1日現在)に載る284病院で、単位は施設数です。
| 許可病床数 | 病院数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 99床以下 | 88 | 31.0% |
| 100〜199床 | 92 | 32.4% |
| 200〜299床 | 40 | 14.1% |
| 300〜499床 | 48 | 16.9% |
| 500床以上 | 16 | 5.6% |
| 合計 | 284 | 100.0% |
(構成比は編集部の算出。200床未満は180病院で63.4%にあたります)
表を読むときに、1つだけ外せない条件があります。**許可病床数は病棟の数ではありません。**その病院にいくつの病棟があるのか、夜勤帯に何人が入るのかは、この数字からは分かりません。
それでも分かることがあります。千葉県で職場を探すとき、候補の3分の2近くは200床に届かない規模の病院です。 規模が違えば置ける病棟の数の前提が変わり、勤務形態の選択肢も変わってきます。「千葉の病院」とひとまとめにして時間割を語ることはできません。
1回の長さは、就業規則と労使協定の側から動きます
長さについての困りごとは、原因の置き場所によって動かし方が変わります。自分の困りごとがどの行にあたるかを先に決めてください。
| いま困っていること | それを決めている仕組み | 先に確かめること |
|---|---|---|
| 1回の勤務が長い | 就業規則の始業終業時刻と、変形労働時間制の定め(32条の2ほか) | 労使協定と就業規則に、どの期間で平均する定めがあるか |
| 明けの後がすぐ次の勤務になる | 勤務表の組み方(条文ではなくガイドラインの基準が目安になる) | 直近1か月の勤務表で、次の始業までの間隔を実際に数える |
| 月の合計時間が多い | 病棟の夜勤要員の人数と、診療報酬の施設基準 | 自分の病棟が算定している入院料 |
1行目と2行目には、はっきりした違いがあります。始業終業の時刻は文書に書かれた定めであり、勤務表は毎月作り直されるものです。前者を動かすには、師長に相談するのではなく、就業規則と労使協定の中身を変える必要があります。
見落とされやすいのは、拘束時間と労働時間のずれです。仮眠や休憩に充てられている時間は、職場に居続けている以上、拘束の側には含まれます。
時刻の例そのものは、検索すればいくらでも出てきます。2026年9月5日に「看護師 夜勤 時間」の検索上位10件から、のべ258件の見出しを取り出しました。法令名・条番号・告示名・ガイドライン名を掲げた見出しを数えたところ、1件もありませんでした。本記事が時刻の例を並べないのは、出どころの分かる数字だけで書くと決めているからです。
よくある質問
看護師の夜勤は何時から何時までですか?
**各施設の就業規則が定めており、全国共通の時刻はありません。**労働基準法が時刻を定めているのは、割増賃金の対象になる午後10時から午前5時までの部分だけです(37条4項)。全国共通の時刻を示した公的なデータに、編集部は行き当たっていません。その病院の時刻は、求人票か就業規則にしか書かれていないと考えてください。
看護師の準夜勤は何時から何時までですか?
準夜勤は、三交代制で日勤と深夜勤の間に置かれる勤務を指す職場の呼び方で、労働基準法の用語ではありません。**時刻は施設ごとに定められるため、一律の答えはありません。**三交代制は1日を3つに分ける形のため、1回あたりは8時間前後に収まる形に組めます(編集部の算出)。
看護師の夜勤は何時間勤務ですか?
**勤務形態によって変わります。**三交代制は1日を3分割するため1回8時間前後、二交代制は日勤を8時間前後に置くと夜勤側が16時間前後になります(いずれも編集部の算出)。なお日本看護協会は、勤務の拘束時間を13時間以内とする基準を示しています(2013年のガイドライン)。16時間の夜勤は、この基準を超える長さにあたります。
看護師は夜勤明けに日勤に就くことはありますか?
**勤務表の組み方によっては起こりえます。**日本看護協会のガイドラインは、勤務と勤務の間隔を11時間以上あけることを基準として示しています(2013年)。夜勤明けの朝に退勤してその日のうちに日勤へ入れば、この基準を大きく下回ります。実際にどう組まれているかは、あなたの病棟の勤務表を1か月分見るのが最も確実です。
看護師の夜勤明けは休みですか?
**休日ではありません。**夜勤明けの日は勤務が終わる日であり、現に働いている日です。労働基準法35条は毎週1回または4週で4日以上の休日を求めていますが、明けの日をどう扱うかは定めていません。勤務表で「明」が休日として数えられていないか、確認する価値があります。
まとめ
- 夜勤の始業・終業の時刻を決めているのは就業規則で、法律が定めているのは午後10時から午前5時までという割増賃金の対象時間帯だけです(労働基準法37条4項)
- 1日の労働時間の原則は8時間で(32条2項)、これを超える16時間の夜勤を所定の勤務として組むには変形労働時間制の定めが要ります(32条の2第1項ほか)
- 三交代の8時間は原則の枠と同じ数字で、二交代の16時間は日勤を枠に収めた残りとして出てきます(編集部の算出)
- 日本看護協会は拘束時間13時間以内・勤務と勤務の間隔11時間以上を基準として示しています(2013年)。法令ではありませんが、長さを判断する物差しになります
- **夜勤明けは休日ではありません。**数えるべきは明けの日ではなく、次の勤務の始業までに空いている時間です
直近1か月の勤務表を開いて、夜勤の終業時刻から次の勤務の始業時刻までが何時間あるかを、すべて書き出してみてください。11時間を切る箇所がいくつあるかが分かれば、応募先に何を聞けばよいかも決まります。
本記事で照合したのは、労働基準法の条文と、日本看護協会が公表したガイドラインの本文です。あなたの勤務表や就業規則が法令に適合しているかどうかの判断は、社会保険労務士か、所轄の労働基準監督署の窓口へ相談してください。
参考・出典
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)32条1項・2項 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 (2026年9月5日確認。e-Gov法令API v2
?elm=Mp-At_32で本文を取得して逐語照合) - 労働基準法 32条の2第1項 同上 (2026年9月5日確認。同API
?elm=Mp-At_32_2で本文を取得して逐語照合) - 労働基準法 35条1項・2項 同上 (2026年9月5日確認。同API
?elm=Mp-At_35で本文を取得して逐語照合) - 労働基準法 37条4項(深夜の割増賃金・午後10時から午前5時まで)、34条1項(8時間超で1時間以上の休憩) 同上 (2026年9月5日時点で編集部が検証済みの記載から引用。本記事の担当者は当日に原典を開き直していない)
- 公益社団法人日本看護協会「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」(2013年)勤務編成の基準①勤務間隔・②勤務の拘束時間・④夜勤の連続回数・⑧夜勤後の休息 https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/guideline/yakin_guideline.pdf (2026年9月5日確認。PDF本文をテキスト抽出プロキシ経由で取得し、同会「『夜勤・交代制勤務ガイドライン』を夜勤負担軽減に活かすには」2016年8月20日 https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/document/report/pdf/2016-20th.pdf で同じ数値を再照合)
- 千葉県健康福祉部医療整備課「令和8年度 病院名簿」(2026年4月1日現在) https://www.pref.chiba.lg.jp/iryou/sidou/documents/r8byouinmeibo.xlsx (2026年9月5日確認。許可病床規模別の集計と構成比は編集部の算出)
