看護師の転職回数の平均は、国の統計からは取り出せませんでした。取り出せなかった場所まではっきりしているので、そこまでを先に書きます。
国の調査は転職回数そのものを集計しています。ただし職種の区分が11までで、看護職だけの区分がありません。いちばん近い数字は、日本看護協会が会員に尋ねた「これまでに所属した勤務先数」の平均3.1か所です。
何回までなら不利にならないという線引きは、本記事では引きません。

国の調査は転職回数を集計していますが、職種は11の区分で止まります
厚生労働省は、転職した人に直接尋ねる調査を行っています。令和2年転職者実態調査といい、令和2年10月1日現在の状況について、5人以上の常用労働者を雇う事業所とそこで働く転職者を対象にしたものです。
この調査の報告書には、統計表が37並んでいます。そのうち6番目の表題が「性・年齢階級・最終学歴・現在の勤め先での職種、転職回数別転職者割合」です。転職回数は、名前のとおりここで集計されています。
問題は職種の区分のほうです。この調査が使う区分は11で、いちばん細かいところでも「専門的・技術的な仕事」までしか降りません。その区分の説明には、医師、薬剤師、看護師、准看護師、栄養士、福祉相談員、保育士などが例として並んでいます。
この11の中に、看護職だけの区分はありません。表題に職種が入っていても、そこから「看護師の平均転職回数」を作ることはできない、ということです。
編集部は、この表のファイル自体を開けていません。提供されているのが表計算の形式で、本記事を作った環境ではその中身を読めませんでした。数値を1つも引いていないのはそのためです。
いちばん近い数字は「これまでに所属した勤務先数」で、平均3.1か所でした
看護職に絞った集計で、編集部がたどり着いたのは日本看護協会の看護職員実態調査です。2025年10月1日から11月12日に会員を対象に行われ、有効回答数は4,430、有効回収率は34.5%と記されています。
この報告書の統計表23が、転職の回数にいちばん近い欄です。
| これまでに所属した勤務先数 | 割合 |
|---|---|
| 1〜2か所 | 46.9% |
| 3〜4か所 | 36.0% |
| 5〜6か所 | 10.7% |
| 7か所以上 | 4.3% |
| 無回答・不明 | 2.1% |
(表題は「年齢・これまでに所属した勤務先数【「転職経験あり」対象】」。公益社団法人日本看護協会「2025年 看護職員実態調査報告書」〈日本看護協会調査研究報告No.103〉による。平均職場数は3.1か所。2026年9月22日に編集部が報告書の本文を取得し、問いの形を変えて2回読み取って一致を確かめた)
答えたのは、この団体の会員のうち抽出された人です。千葉県で働く看護職の平均ではありませんし、転職したことがない人はこの表に入っていません。
この表が数えているのは勤務先の数で、転職の回数ではありません。勤務先の数から1を引いて回数にする読み方を、本記事は取りません。何を1か所と数えるかが、この表からは決まらないためです。
同じ法人の中で施設が変わった場合、応援や派遣で一定期間だけ働いた場合が、1か所として数えられているかどうか。その説明を編集部は見つけられておらず、引き算をすれば編集部の想像が混ざります。
見かけた「平均◯回」には、3つの問いを当ててください
ほかのページで平均回数を見かけたときに、その数字を使ってよいかを決める手がかりは3つあります。
- 誰に聞いたか — 全国の看護職か、ある団体の会員か、あるサービスの登録者か
- 何人が答えたか — 回答数と、そのうち有効だったものの数が書いてあるか
- 何を1回と数えたか — 勤務先の数か、退職の数か、法人をまたいだ移動だけか
上の3.1か所という数字も、この3つを当てると輪郭が見えます。聞いた相手は1つの団体の会員、答えたのは4,430人、数えたのは勤務先の数です。平均そのものより、この3つが書いてあるかどうかのほうが先に効きます。
3つのうち1つでも書かれていない数字は、本記事では使っていません。転職サービスが自社の登録者に尋ねた集計を引いていないのも、同じ理由です。
本記事を書いているのは看護職ではありません。看護の実務の話も、採用の現場で見聞きした話も出てこないのはそのためです。
採用の側に示されている配慮事項に、転職回数は入っていません
厚生労働省は「公正な採用選考の基本」というページで、採用選考時に配慮すべき事項を挙げています。応募用紙に書かせたり面接で尋ねたりすると就職差別につながるおそれがある、という位置づけのものです。
| 区分 | 挙がっている事項 |
|---|---|
| 本人に責任のない事項(4) | 本籍・出生地/家族(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)/住宅状況(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)/生活環境・家庭環境 |
| 本来自由であるべき事項(7) | 宗教/支持政党/人生観、生活信条など/尊敬する人物/思想/労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動/購読新聞・雑誌・愛読書など |
(厚生労働省「公正な採用選考の基本」の(3)採用選考時に配慮すべき事項。2026年9月22日に編集部が、同省の2つのページで項目名と個数をそれぞれ別の問いで読み取り、一致を確かめた)
合わせて11項目あり、そこに転職回数も、職歴も、前職も出てきません。一覧に無いということは、尋ねてはならない事項として名指しされていない、というところまでです。そこから「回数は見てよい基準だ」とまでは、このページからは決まりません。
これは事業主に向けた行政の説明で、法律の条文ではありません。挙がっていない事項を尋ねることが禁じられている、という意味にもなりません。
千葉県で次の1回を決める前に開ける欄
回数は済んだことで、もう動きません。動かせるのは次の1回の中身のほうで、そこは応募の前に文字で確かめられます。
編集部が持っている千葉県の病院名簿に、勤続年数や定着率の列はありません。県内の職場を個別に比べるときも、開けるのは条件の側の欄です。
- 選考が進んだときに何が文字で示されるかは、採用が決まる前に書面で渡されるものにまとめています
- 次の職場で金額がどう変わりうるかは、移った先の金額を公表値の欄で確かめるで、千葉県の公表資料の欄ごとに見られます
求人の紹介文は、上の2つの集計とは分けて読んでください。登録を急ぐ理由は、ここまでに1つも出てきていません。求人が届くまでの経路のほうは、次の1回で使う道具の選び分けに置いてあります。
よくある質問
看護師の転職回数は平均何回ですか?
回数として集計した公的な数字に、編集部は行き当たっていません。国の転職者実態調査は転職回数を集計していますが、職種の区分が11までで、看護職だけの区分がないためです。編集部が見た範囲でいちばん近いのは日本看護協会の「これまでに所属した勤務先数」で、平均は3.1か所でした。ただし対象は転職経験があると答えた会員で、数えているのは勤務先の数です。
転職回数が多いと看護師は不利になりますか?
有利か不利かを、本記事は判定できません。採否の基準をまとめて示した公表資料を、編集部は確認できていないためです。
履歴書に転職回数はどこまで書きますか?
書式の話は本記事の担当の外にあります。厚生労働省が示している様式例や、職歴欄の書き方を扱う記事は別に立てています。
まとめ
- 国の令和2年転職者実態調査は転職回数を集計していますが、職種の区分は11までで、看護職だけを取り出した平均は作れません
- 看護職に絞った集計のうち編集部が見た範囲でいちばん近いのは、日本看護協会の看護職員実態調査にある「これまでに所属した勤務先数」で、1〜2か所46.9%、3〜4か所36.0%、平均3.1か所です
- 厚生労働省が採用選考時に配慮すべきとして挙げている11項目に、転職回数・職歴・前職は入っていません
本記事が置いたのは、公表されている集計と行政の説明の範囲です。応募先ごとの扱いは、その施設の募集窓口か公的な相談の窓口で確かめてください。
平均が出てこないのは、看護職の転職が数えられていないからではありません。数えられているのが、回数ではなく勤務先の数だからです。
参考・出典
- 厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」(調査の対象と時点、「主な用語の定義・解説」の職種11区分と、2番目の区分に例として挙げられている職業) https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/6-18c-r02-gaikyo.pdf (2026年9月22日に編集部が本文を取得し、区分の数・名称・例示の職業名について問いの形を3回変えて読み取り、一致を確かめた)
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「雇用の構造に関する実態調査(転職者実態調査)令和2年 報告書 統計表 個人調査」6「性・年齢階級・最終学歴・現在の勤め先での職種、転職回数別転職者割合」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000032186726 (2026年9月22日に編集部が表題と提供形式を2つのページで確かめた。提供形式はEXCELで、本記事の作業環境ではファイルの中身を開けていない)
- 公益社団法人日本看護協会「2025年 看護職員実態調査報告書」(日本看護協会調査研究報告No.103)統計表23「年齢・これまでに所属した勤務先数【「転職経験あり」対象】」 https://www.nurse.or.jp/nursing/assets/103.pdf (2026年9月22日に編集部が本文を取得し、表題・区分・割合・平均職場数・有効回答数について問いの形を変えて2回読み取り、一致を確かめた。割合の合計が100.0になることも確かめた)
- 厚生労働省「公正な採用選考の基本」(採用選考時に配慮すべき事項) https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm および https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_56780.html (2026年9月22日に編集部が2つのページで項目名と個数をそれぞれ別の問いで読み取り、一致を確かめた)

