看護師の50代の転職は難しい?55歳で変わる法律の扱い

コロ助

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号)は、55歳から先の人を「高年齢者」と呼びます。50代は、この呼び名の線をまたぐ10年です。

同じ法律には60歳・65歳・70歳という数字も出てきます。いずれも募集や採用の入り口にかかる数字ではなく、入ったあとに何歳まで働けるかの側にかかっています。

難しいか難しくないかという答えは、本記事には置いていません。置いたのは、この法律が年齢で扱いを変えている4つの地点と、それぞれが何にかかっているかです。

条文に出てくる4つの年齢が、いずれも入職後の期間にかかっていることを1本の直線で示した模式図

「高年齢者」という呼び方が始まるのは、55歳からです

この呼び方の範囲は、法律の本文ではなく省令の側に書かれています。

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和四十六年法律第六十八号。以下「法」という。)第二条第一項の厚生労働省令で定める年齢は、五十五歳とする。
(同法施行規則1条。2026年9月22日に、法令APIの2つの版へ順に照会し、2つ目では年齢の数字と委任元の条番号だけを尋ねて答えを合わせた)

条の見出しは「高年齢者の年齢」です。法の2条1項は「この法律において「高年齢者」とは、厚生労働省令で定める年齢以上の者をいう。」と定めるだけで、数字そのものは持っていません。数字は省令の側にあり、それが55歳です。

数字がどちらに書かれているかは、読むときに効いてきます。55歳の線は省令の側にあるので、法律の条文が変わらなくても動きうる位置にある、ということです。

ただし、この呼び名が決めているのは、次の節から見ていく雇用の確保の定めが誰にかかるかという範囲です。採用する側が何を考えるかは、この条からは出てきません。

50代で入る職場の定年は、60歳より手前には置けません

定年の下限は、法律が直接決めています。

事業主がその雇用する労働者の定年(以下単に「定年」という。)の定めをする場合には、当該定年は、六十歳を下回ることができない。ただし、当該事業主が雇用する労働者のうち、高年齢者が従事することが困難であると認められる業務として厚生労働省令で定める業務に従事している労働者については、この限りでない。
(同法8条。同じ日に同じ2つの版へ順に照会した。一方の答えでは「(以下単に「定年」という。)」の括弧書きが落ちていたため、その括弧の有無だけをもう一度尋ねて確定させた)

条の見出しは「定年を定める場合の年齢」です。かかるのは定年を定める場合であり、定年を置いていない事業主に、この条の下限は出てきません。ただし書は、高年齢者が従事することが困難と認められる業務として省令が定めるものに限って、下限の外に置いています。そのただし書が指している省令の中身に、本記事は届いていません。

入職した年齢が何歳であっても、定年の下限は同じです。50代で入るから定年が早く来る、という形の定めは、この条にありません。

定年が65歳未満の事業主には、3つのうちどれかを選ぶ義務があります

定年(六十五歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の六十五歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれかを講じなければならない。
(同法9条1項柱書。同じ日に、項の数と号の数を尋ねる形でもう一度取り出し、答えが一致した)

各号は次の3つです。

  1. 当該定年の引上げ
  2. 継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入
  3. 当該定年の定めの廃止

この義務がかかるのは、定年を65歳未満で定めている事業主です。定年を置いていない事業主と、定年を65歳以上で定めている事業主は、この項の名宛人に入りません。求人で確かめられるのは定年が何歳かまでで、3つのどれを選んでいるかは募集の段では分からないことがあります。

同条2項は、特殊関係事業主との契約に基づいて雇用を確保する制度も継続雇用制度に含まれる、と定めています。定年後も同じ法人に残る形だけを指しているわけではない、ということです。

70歳までの側は、義務ではなく努力義務です

同法10条の2第1項には、65歳から70歳までの安定した雇用を確保するよう努めなければならない、という定めがあります。名宛人は、定年を65歳以上70歳未満で定めている事業主などです。文末は「努めなければならない」で、9条1項の「講じなければならない」とは強さが違います。

同項は、創業支援等措置という別の形も置いています。これは雇用ではなく、委託契約その他の契約に基づいて就業を確保する措置で、条文では労働契約が除かれています。選ぶには過半数組合または過半数代表者の同意が要る、とも書かれています。

年齢 条文 定めていること 文末の形
55歳 法2条1項+施行規則1条 「高年齢者」と呼ぶ範囲の下限 〜とする
60歳 法8条 定年を定める場合の下限(ただし書あり) 下回ることができない
65歳 法9条1項 65歳までの雇用確保措置(3つのいずれか) 講じなければならない
70歳 法10条の2第1項 65歳から70歳までの雇用・就業の確保 努めなければならない

(2026年9月22日に、編集部が上の4か所から年齢と文末だけを抜き出して並べたもの。条文の全文ではありません)

ここからは意見です。50代で求人票を見るなら、賃金の欄より先に定年の年齢を確かめたほうがよい、と当メディアは考えます。上の4つはどれも、定年が何歳に置かれているかで効き方が変わるのに対し、賃金の欄のほうは年齢で条文が切り替わらないためです。事業主がこの2つをどう並べているかを述べたものではありません。

募集や採用の段で年齢をどう扱えるかは、この4か所とは別の条文が定めています。本記事はそちらに触れていません。

千葉県内では、定年より先に通える距離が決まります

当メディアが千葉県について持っているのは、県の病院名簿と厚生局の届出をつないだ表です。列は21あり、そのうち働き方に近いのは平均勤続年数・有給取得率・育児休業取得率・月平均残業時間の4つです。

この4列は、284行とも空欄のままです。法人単位で公表されているものを病院ごとに割り当てられていないためで、各法人が公表していないという意味ではありません。定年という列は、この表にそもそも用意されていません。

先に決められるのは距離のほうです。県内は9つの二次医療圏に分かれていて、圏域ごとに病院の数が違います。定年まで通える距離かどうかを確かめる側のページに、圏域ごとの数を置いてあります。

年齢を重ねた看護職の働き方について、当メディアは実感を持っていません。書き手は医療の資格を持たず、看護の現場に立ったこともないためです。ここに置けるのは、法律が年齢をどこで見ているかと、千葉県の表にどの列があるかだけです。

金額の側は別の記事が持っています。同じ県内で支給額がどこまで割れるかを見る記事を先に開くと、定年までの年数と月々の額を、別々の欄として置けます。

求人票に、定年が何歳かという欄が付いているとは限りません。年齢を書かずに相場だけ受け取る使い方を先に読んでもよく、登録するかどうかは定年の欄を見つけてからでも遅くなりません。

よくある質問

看護師は50代でも採用されますか?

本記事では答えを出していません。採用するかどうかを決めるのは事業主で、本記事が開いた4か所の条文はいずれも、募集や採用の可否を定めたものではないためです。確かめられるのは、入った先の定年が何歳かと、その事業主に65歳までの措置の義務がかかるかどうかまでです。

50代で転職すると、定年まで数年しか働けませんか?

定年の下限は60歳で、定年を65歳未満で定めている事業主には65歳までの雇用確保措置の義務があります(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律8条・9条1項)。ただし、3つの措置のどれを選ぶかは事業主が決めるため、定年後の労働条件まではこの条文からは決まりません。入職前に確かめられるのは、定年の年齢と、定年後の制度があるかどうかの2つです。

まとめ

  • 本記事が開いた条文のうち、50代の中に線を引いているのは55歳です(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律2条1項+同法施行規則1条)
  • 定年の下限は60歳(同法8条)、65歳までの雇用確保措置は義務(同9条1項)、65歳から70歳までは努力義務(同10条の2第1項)です
  • 募集や採用の段の年齢の扱いは、本記事が開いた4か所とは別の条文の担当です

55歳・60歳・65歳・70歳の4つは、どれも採用の可否を決める数字ではありません。決めているのは、勤め続ける側の期間と、その期間に事業主が何をしなければならないかです。50代で動くときに数えられるのは、この4つまでの距離のほうです。

載せたのは、条文の文言と、その文言がかかる相手までです。自分の勤め先や応募先で制度が実際にどう運用されているかは、就業規則と、都道府県労働局またはハローワークの窓口で確かめてください。


参考・出典

  • e-Gov法令検索「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(昭和46年法律第68号)2条1項・8条・9条1項・10条の2第1項 https://laws.e-gov.go.jp/law/346AC0000000068 (2026年9月22日に、法令APIのv2とv1という2つの版から、条ごとに別々の問いで取得して突き合わせた)
  • e-Gov法令検索「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則」(昭和46年労働省令第24号)1条 https://laws.e-gov.go.jp/law/346M50002000024 (同日・同じ2つの版で確認)
  • 千葉県_医療機関マスタ(千葉県の病院名簿と関東信越厚生局の施設基準の届出を編集部が結合した284病院・21列の表。列ごとの基準日は2025年7月1日〜2026年7月1日)
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