看護師の転職で出す履歴書|様式の定めと、書かなくてよい欄

コロ助

厚生労働省が示している履歴書は「様式例」です。義務として示されたものではない、という意味です。

はっきり決まっているのは、応募書類で集めてはならない個人情報のほうです。告示が3つ挙げています。

どの欄に何と書けば通るかという正解は、この記事では示しません。代わりに、欄ごとに誰の決まりが働いているかを分けます。

この記事でやったのは、原典を開いて文言を写し、その決まりが誰に向けられたものかを分けるところまでです。看護の実務も、応募書類を受け取る側の判断も、ここには入っていません。

編集部は、欄を埋める前に、その欄が誰の決まりで置かれたものかを確かめることを勧めます。これは編集部の意見で、採用する側がその欄をどう見るかを述べたものではありません。

1枚の履歴書に免許の側の決まりと募集の側の決まりが別々にかかることを示した模式図

JIS規格から外れたあとに、厚生労働省が様式例を作りました

令和2年7月に日本規格協会がJIS規格の解説の様式例から履歴書の様式例を削除し、そのあとで厚生労働省が新しい様式例を作った、という順です。

呼び名は「厚生労働省履歴書様式例」で、ページの言葉をそのまま引くと「皆様に広く参考にしていただくための様式例」になります。

使うことが義務だという記載は、編集部が開いた3ページのどこにもありませんでした。様式を定めた法令があるかどうかを条文で網羅的に当たったわけではないため、ここでは同省の示し方までを書きます。

先に見るのは応募先の募集要項です。様式の指定・提出の方法・期限は、そちらに書かれています。

施設の採用窓口へ自分で出す形をとるなら、書類の送り先が施設の窓口になる場合に経路の話を置いています。募集する側が示すことになっている事項も、そちらに条番号つきであります。

応募書類で集めてはならない事項を、告示が3つ挙げています

厚生労働省の指針の第五は、「求職者等の個人情報の取扱いに関する事項(法第五条の五)」という見出しです。その一の(二)に、集めてはいけない事柄が並んでいます(平成11年労働省告示第141号の指針 第五 一(二)。2026年9月22日に厚生労働省の法令等データベースで確認した)。

当メディアの言葉に置き換えると、次の3つが対象になります。本籍や出生地のように社会的な差別のもとになりうる事柄、どんな考えを持ち何を信じているか、労働組合に入っているかどうかです。業務の上でどうしても欠かせない事情があり、何のために集めるのかを示して本人から受け取るときは、この枠から外れます。

この決まりが向けられている相手には、求人者も入っています。応募先そのものが名宛人だ、ということです。

外せない限定が2つあります。これが法令そのものではなく告示であることと、例外を認めるただし書が付いていることです。

ですから、本籍の欄がある用紙を見ても、それだけで違法だとは書けません。読み取れるのは、その欄が指針の挙げた事項に当たる、というところまでです。

この指針が縛っているのは集める側です。あなたが書かないことを保証する規定ではありません。埋めるかどうかで迷ったら、応募先の窓口に尋ねてください。

免許の欄に書けるのは、籍に登録されている記録です

看護師籍に何を登録するかは、政令が定めています。保健師助産師看護師法施行令2条1項の見出しは「籍の登録事項」で、号は全部で7つあります。

一 登録番号及び登録年月日
二 本籍地都道府県名(日本の国籍を有しない者については、その国籍)、氏名及び生年月日
三 保健師籍又は看護師籍にあつては、性別
(保健師助産師看護師法施行令2条1項1号〜3号。2026年9月22日に確認した)

履歴書の免許の欄で使えるのは、1号の登録番号と登録年月日です。どちらも籍に登録されていて、免許を持つ本人が手元の免許証で確かめられます。

ここで前の節とつながります。籍に本籍地都道府県名が登録されていることと、応募書類でそれを集めてよいことは、別の決まりが決めています。

どちらの側の決まりか 何を定めているか
免許の側(保健師助産師看護師法施行令2条1項) 看護師籍に登録する事項。1号=登録番号及び登録年月日/2号=本籍地都道府県名、氏名及び生年月日/3号=性別(全7号)
募集の側(平成11年労働省告示第141号の指針 第五 一(二)) 集めてはいけない事柄。イ=本籍や出生地を含むもの/ロ=考えていることや信じていること/ハ=労働組合に入っているかどうか

2つは別の法令で、名宛人も違います。免許に登録されているのだから履歴書にも書く、という接続は、この表からは出てきません。

姓が変わったときは、三十日以内に籍の訂正を申請します

結婚や転籍で氏名が変わると、免許証の氏名と履歴書の氏名がそろわなくなります。この場合の手続きも、同じ政令にあります。

保健師又は看護師は、前条第一項第二号又は第三号の登録事項に変更を生じたときは、三十日以内に、保健師籍又は看護師籍の訂正を厚生労働大臣に申請しなければならない。
(保健師助産師看護師法施行令3条1項。2026年9月22日に確認した)

引いている前条第一項第二号と第三号は、上の表の2号と3号です。氏名も本籍地都道府県名も性別も、ここに入っています。

同条の5項は、業務に従事する人が申請するときに就業地の都道府県知事を経由することを定めています。申請書の様式や添付書類の細目は扱いません。手続きの実際は、下の節の窓口で確かめてください。

虚偽の表示を禁じた条文は、あなたを名宛人にしていません

応募書類の中身で気になるのは、事実と違うことを書いたらどうなるか、という点だと思います。職業安定法に表示のルールはありますが、向いている先が違います。

公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者、労働者の募集を行う者及び募集受託者、募集情報等提供事業を行う者並びに労働者供給事業者は、この法律に基づく業務に関して新聞、雑誌その他の刊行物に掲載する広告、文書の掲出又は頒布その他厚生労働省令で定める方法(以下この条において「広告等」という。)により求人若しくは労働者の募集に関する情報又は求職者若しくは労働者になろうとする者に関する情報その他厚生労働省令で定める情報(第三項において「求人等に関する情報」という。)を提供するときは、当該情報について虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならない。
(職業安定法5条の4第1項。2026年9月22日に確認した)

名宛人の列に、応募する本人は出てきません。対象になる情報のほうには「求職者若しくは労働者になろうとする者に関する情報」が入っています。あなたに関する情報を提供する側が縛られていて、あなた自身がこの条の名宛人になっているわけではありません。

同じ条の2項と3項も、名宛人は事業者の側です。正確かつ最新の内容に保つことと、そのための措置を講じることを求めています。

ただし、これを事実と違うことを書いてよい理由に使わないでください。当メディアは、経歴を偽る方法を扱いません。条文が誰に向いているかという話と、書類に何を書くかという話は別のものです。

千葉県では、申請の窓口の書き方が2つに分かれています

編集部が千葉県のページを2つ開くと、籍の訂正をどこへ出すかについて、書き方がそろっていませんでした。

県のよくある質問のページは「住所地の保健所を通じて」と書いています。対象として挙げているのは「医師・歯科医師・臨床検査技師等」で、看護師は名指しされていません。

県内の保健所のページのほうは、看護師の籍訂正と免許証の書換交付について「就業地を管轄する保健所で申請」と書いています。必要なものとして、戸籍謄本と免許証、事実から30日を過ぎた場合の遅延理由書が並んでいました。

どちらが正しいかを、本記事では決めません。政令の5項が業務に従事する人について就業地の経由を定めているため、働いているかどうかで経路が分かれる余地があります。自分がどちらに当たるかは、保健所へ直接確かめてください。

応募先がまだ決まっていないなら、どの病院へ出すかを決めていないときに開くページから候補を作れます。9つの二次医療圏(県が入院医療の体制を整える単位として定めた区域)に、病院がどう散らばっているかが分かります。

求人の紹介文と、ここまでに並べた告示や政令は分けて読んでください。登録しても、上に書いた決まりの中身が変わるわけではありません。

よくある質問

履歴書に本籍を書く欄があります。埋めないといけませんか?

埋めるかどうかを、本記事では決められません。示せるのは、その欄が何に当たるかまでです。本籍は、指針が収集してはならないとしているイの中に挙がっています。ただし指針は集める側に向けた決まりで、ただし書の例外も置かれているため、応募先の窓口に尋ねてください。

免許の欄には何を書けばいいですか?

政令が籍の登録事項の1号に挙げているのは、登録番号及び登録年月日です。免許証の氏名と今の氏名がそろっていない場合は、籍の訂正の申請が別にあり、政令には三十日以内という期間が書かれています。

まとめ

  • 応募書類で収集してはならない個人情報は、平成11年労働省告示第141号の指針 第五 一(二)がイ・ロ・ハの3つを挙げています。ただし書があり、名宛人は求人者などの側です
  • 看護師籍の登録事項は保健師助産師看護師法施行令2条1項が定め、氏名などが変わったときは同3条1項が三十日以内の籍の訂正の申請を求めています

本記事が示したのは、告示と政令の文言と、それぞれが誰に向けられているかまでです。あなたの免許の手続きと、応募先ごとの書類の扱いは、保健所の窓口と応募先へ確かめてください。

手続きの前に人へ聞いておきたい場合は、話を聞く側が何を根拠に黙っていられるのかを見てください。窓口ごとに、話した内容の扱いが違います。

履歴書は1枚の紙ですが、その1枚に、免許の側の決まりと募集の側の決まりが重なっています。埋まらない欄があるときは、どちらの決まりが置いた欄かを先に見てください。


参考・出典

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